家庭用太陽光発電システムの構成や発電の仕組み!導入するメリット・デメリットとは?

2021年7月2日

家庭用太陽光発電のメリット・デメリットとは?発電の仕組みどうなってるの?

最近は電気代が高騰している影響もあり、新築やリフォームで家庭用太陽光発電の導入を検討している方も多いように思います。

世界的にも再生可能エネルギーが注目されており、太陽光発電システムの普及率は年々高まっています。日本では、2019年時点で267万戸(8.2%)まで普及が広がっています。

この記事では、太陽光発電システムの基本的な仕組みやメリット、余った電気を売る「売電」の利用制度について解説していきます。

家庭用太陽光発電システムの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

家庭用太陽光発電の基本的な仕組み

家庭用太陽光発電の基本的な仕組み

社会全体が省エネ・環境問題に意識の高まりを見せるとともに、家庭用太陽光発電システムをご自宅に導入するご家庭が増えています。

電気代を節約できるとともに、余った電気を売却できる点に魅力を感じている人も多いのではないでしょうか?

しかし、太陽光発電の導入や維持には相応のコストが必要になるため、事前に太陽光発電システムの仕組みを理解しておいた方が良いでしょう。

太陽光発電システムの構成部品や発電の仕組みについて解説していきます。

太陽光発電システムの構成

太陽光発電システムの構成

太陽光発電システムの構成は、基本的に上図のようになっています。

それぞれの部品に役割があるので、部品ごとにどのような役割を果たしているのか順に解説していきたいと思います。

①太陽電池モジュール

複数の太陽電池を板状に繋げたもので、一般的には「ソーラーパネル」と呼ばれている部品のことをいいます。

屋根の上に設置された太陽電池モジュールによって、太陽光を電気エネルギーに変換するため、太陽光発電システムの核といえる構成部品です。

②接続ユニット

太陽電池モジュールからの配線を一本にまとめ、パワーコンディショナーに送る役割を持っています。商品によってはパワーコンディショナーと一体になっている場合もあります。

③パワーコンディショナー

太陽電池モジュールで発電された電力は直流電力のため、そのままでは家庭で使うことができません。パワーコンディショナーは、直流電力を家庭で使える「交流電力」に変換するための装置です。

パワーコンディショナーには、MMPT(最大電力点追従制御)という、太陽光パネルが電力を安定して供給できるようにする機能や、電気系統を保護する系統連系保護機能、停電時などでも自立して発電・利用できるようにする自立運転機能などが備わっています。

④分電盤

パワーコンディショナーによって家庭内で使えるようになった電力を、家庭内の各箇所に分配するための部品です。分電盤には漏電遮断器やブレーカーが一緒に収まっています。

分電盤には、電気事業者から送電線を通じて提供される電力を受け取り家庭内に分配したり、売電時に送電線に送り出す役割もあります。

⑤電力モニター

電力モニターでは、現在の発電量・使用料・売電量などを見ることができます。日頃から発電量などをチェックしておくことで、不具合の早期発見に役立ちます。

ビルトインタイプ(埋め込み式)と持ち運び式(無線方式)のものがあるので、お好きな方を選択しましょう。

⑥蓄電池(※オプション)

以前までは余った電力は蓄えずに売電するのが一般的でしたが、最近は売電価格が下がってきていることから、売電せずに家庭内で使いたいという需要も高まっています。

蓄電池を設置することで、太陽光発電の余剰電力や電気代の安い深夜電力を蓄えることができるようになるため、電気代の節約につながります。

年々売電価格が下がっていることを考えると、蓄電池の需要はますます増していくと予想されます。

⑦電力メーター

電力事業者に売電した電力量と、電力事業者から購入した電力量を計測するのが役割です。以前までは売電メーターと買電メーターに分けられていましたが、最近では1台で両方の計測ができる「スマートメーター」が主流になっています。

電気が発電される仕組み

太陽電池には、シリコン系・化合物系・有機系などさまざまな種類がありますが、現在はシリコン系の太陽電気が主流になっています。

太陽光発電システムは、シリコン半導体に光を当てると電力が発生する「光電効果」という現象を利用して、太陽光を電気エネルギーに変換しています。

電気が発電される仕組み

引用元:KYOCERA Japan

N型とP型の2種類の半導体を重ね合わせ、N型側を表面にして太陽光をあてることで電子が光のエネルギーを吸収します。電気が動き出したとき、2箇所の電極を導線で結ぶと電流が流れ出すという仕組みになっています。

FIT(固定価格買取制度)とは何か?

FIT(Feed In Tariff)とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度のことで、太陽光発電システムで作られた再生可能エネルギーを、電力会社が一定期間固定価格で買い取るように国が定めた制度のことをいいます。

住宅用太陽光発電向けのFITは2009年からスタートし、買い取り期間は10年間と定められています。

契約時での固定価格で10年間買い取りがされ、買い取り期間終了後は再度契約をし直すか、蓄電池を設置して自家消費に回すかを選択することになります。ちなみに固定期間が終了することを「卒FIT」などと呼んだりします。

売電価格は2009年・2010年のFIT制度が出来たときの48円を頂点に年々下がり続けており、2021年度の売電価格は19円となっています。

家庭用太陽光発電を導入するメリット

家庭用太陽光発電を導入するメリット

太陽光発電はガスや石油を使用せず、太陽光という自然エネルギーを利用して発電できるクリーンな発電方法です。

最近は地球環境の悪化が問題視されているため、太陽光発電システムの普及に社会の需要が高まっているといえます。

太陽光発電は地球環境に優しいだけでなく、ご家庭にとっても多数のメリットがある商品です。太陽光発電システムを導入することで、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

光熱費を節約できる

太陽発電システムで発電した電力は、もちろんご自宅で使うことができます。

一般的に電気代は日中の方が高く設定されていますが、太陽光発電で日中の電力を自家発電できるため電気代を安くすることができます。

近年、電気料金は上がり続けているため、これまで全て電気事業者から供給される電力を使っていたものを、一部ご自宅で発電される電力を使うことで節電が可能になります。

余った電気を売却できる

家庭用太陽光発電で発電した電力のうち、ご自宅で使いきれなかった分の電力(余剰電力)は、電力会社が10年間固定価格で買い取ってくれます。

固定価格で買い取ってくれる制度を「FIT(固定価格買取制度)」といいますが、この制度の適用により導入後10年間は固定価格での買い取りが行なわれます。

FITや買取価格については後述しますので、そちらの記事をご参考ください。

災害時に非常用電力として利用できる

太陽光発電システムが設置されていると、台風や地震などの停電により、電力事業者から電力が供給されなくなったとしても、パワーコンディショナーの自立運転機能を使って電気製品を利用することができます。

蓄電池を併用することで、発電ができない夜間にも電気を利用することができるため、災害時の電力源として活用が可能です。

太陽熱を遮断できる

屋根に設置する太陽電池モジュールによって、屋根に太陽光が照射されることを防止し、太陽光による室内温度の上昇を抑えることができます。

特に夏場は2階、3階と上の階にいくほど暑くなるため、エアコンを付けて電気代が高くなってしまう傾向にあります。

太陽電池モジュールが二重屋根のような役割を果たし、夏の室内を涼しくすることで、エアコン代を節約できるという副次的なメリットが考えられます。

家庭用太陽光発電のデメリット

家庭用太陽光発電のデメリット

太陽光発電システムを導入するメリットを紹介しましたが、太陽光発電システムにはデメリットも存在しています。

太陽光発電の導入を検討する上で知っておくべき、デメリットや注意点を紹介していきます。

高額な設置費用が必要になる

太陽光発電システムの導入費用は年々安くなっていますが、それでも100万円以上の導入費用は必要になります。

高額な初期費用をかけてでも導入した方が良いかは、太陽光発電システムを導入することで「どのくらい節約できるか?」によって変わってくるはずです。

導入を決める前にしっかりとシュミレーションを行ない、損益分岐点がいつになるか算出しておきましょう。

11年目以降の売電価格が分からない

先述したように、太陽光発電の売電価格は10年間固定価格で行なわれることになっています。

11年目以降は、新たに電力会社と売電契約を結び直すこともできますが、その時点の売電価格が今の売電価格より大幅に下がってしまう可能性があります。

2010年の家庭用太陽光発電の売電価格が48円、2021年の売電価格が19円と、売電価格は年々下がってきていることを考えると、今後も下がっていくと考えた方が良いでしょう。

立地によっては設置ができない

太陽光発電システムを導入するためには「日当たりの良い場所」でないといけませんが、都心ではマンションやビルが建っている影響で、日中に日が当たらない住宅も多く存在しています。

日中に太陽光が当たる時間に比例して発電量も多くなっていくため、あまり日当たりの良くない立地に建っている住宅は、太陽光発電システムを導入するメリットがほとんどなくなってしまいます。

真夏にはしっかり日があたっている場所でも、太陽の位置が低くなる真冬には日が当たらなくなってしまうこともあるため、一年を通じてどれくらい日が当たるかを調べておきましょう。

定期的なメンテナンスが必要になる

太陽光発電システムはメンテナンスフリーと思われがちですが、発電量の低下や機器類の故障がないかをチェックするために「4年に1度」の定期点検が推奨されています。

ソーラーパネルに汚れが付着していると発電効率が低下するため、パネル洗浄を行なう場合はパネル洗浄費用が必要になります。

パワーコンディショナーも約15年前後での交換が推奨されているので、太陽光発電システムを導入することによって節約できた光熱費の一部を、メンテナンス費用として貯蓄しておくなどの対策をしておきましょう。

まとめ

太陽光発電システムを導入するための費用は以前と比べてかなり安くなりましたが、それでも簡単に手が届く金額とはいえないでしょう。

売電価格が年々下がっていることを考えると、これから太陽光発電を導入するメリットをあまり感じないかもしれませんが、電力会社から供給される電気代が高くなってきていることを考えると、導入するメリットは十分あるといえます。

しかし、導入した方が良いかは、お家の立地や電気の使用量などによって変わるため、しっかりとシュミレーションを行なった上で導入を決めることが重要です。