エコキュートにデメリットはある?電気温水器との仕組みの違いや導入メリットを解説

2021年7月4日

エコキュートを分かりやすく簡単に解説!仕組み・メリット・デメリットとは?

リフォームや注文住宅で建物を新築する際などに、工務店からエコキュートの設置を勧められた人もいるでしょう。

エコキュートに対しては、何となく光熱費が安くなるというイメージを持っている人もいるはずですが、実際に詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか?

本記事では「エコキュートという言葉は知っているけど、どんな商品なのか詳しくは知らない…」という人に向けて、エコキュートの特徴や仕組み、メリット・デメリットなどをご紹介します。

エコキュートの基礎知識を身に付けて、設置した方が良いかどうかの判断ができるようになっておきましょう。

エコキュートの基本知識

エコキュートの基本知識

エコキュートとは?

エコキュートとは、電気を使ってお湯を沸かす給湯器のことをいいます。

お風呂やキッチン、洗面所などでお湯を使う場面は多々ありますが、そのような場面で給湯器は使われています。

エコキュートが普及する前は、ガスでお湯を沸かす「ガス給湯器」が一般的でしたが、ガスよりもランニングコストを抑えられるという理由で、エコキュートの普及も広がってきています。

エコキュートは、ガスよりも安く利用できる夜間電力を使ってお湯を沸かして貯めておき、そのお湯を日中に使うことができるのが最大の特徴です。

エコキュートの仕組み

エコキュートでは、ヒートポンプ技術という、エアコンでも使われている技術を活用してお湯を沸かしています。

ヒートポンプユニットと貯湯タンクがセットになっており、ヒートポンプユニットで取り込んだ空気の熱によって水温を上げ、貯湯タンクでお湯を保温しておく仕組みになっています。

一般的なエアコンと同じように、室外に設置されたファンが外気の空気を取り込むため、室外の気温が高い夏場は効率的にお湯を沸かすことができますが、冬は気温が低いため効率が下がり、光熱費が高くなってしまう傾向にあります。

-10℃を下回る地域では稼働しないタイプもあるため、寒冷地に対応しているかチェックしておく必要があります。

電気温水器との違い

電気を使ってお湯を沸かす給湯器と聞いて、「電気温水器と何が違うの?」と思った人もいるでしょう。

確かにエコキュートと電気温水器は、両方とも電気で動くという点においては同じですが、お湯を温める方法に違いがあります。

エコキュートは空気熱でお湯を沸かすのに対して、電気温水器は電熱ヒーターでお湯を沸かす仕組みになっています。

エコキュートはエアコン、電気温水器は電気ストーブを思い浮かべてもらうと、その違いがイメージしやすいかもしれませんね。

エコキュートのメリット

エコキュートのメリット

エコキュートの基本部分をご理解いただいたところで、次はエコキュートを設置するメリットについてお伝えしていきます。

空気熱を使ってお湯を沸かすエコキュートには、どんなメリットがあるのか一緒に見ていきましょう。

光熱費が安くなる

エコキュートを導入する最大のメリットといえるのが、光熱費が安くなるという点でしょう。

電気代の安い深夜電力を使用してお湯を沸かすため、ガス給湯器よりも光熱費が安く抑えることができます。

都市ガスよりも割高なプロパンガスを利用している地域では、さらにその差は広がることになります。

エコキュートは空気熱を利用してお湯を沸かすため、電熱ヒーターでお湯を沸かす電気温水器と比べて効率よく給湯することができます。

例えば、お部屋全体を暖めるときのことを思い浮かべてください。エアコンだと1台で済みますが、電気ストーブだと複数台の電気ストーブが必要になると思います。

それと同じことが、エコキュートと電気温水器でも当てはまるわけです。

省エネで環境に優しい

エコキュートは、給湯器の種類の中でも省エネ性が高く、環境に優しいと言われています。

限られた資源であるガスや石油と比べて、電気は太陽熱や風力で発電することができます。最近では太陽光発電システムを搭載し、家庭で使う電力はすべて家庭内で発電しているお家も多くなっており、エコキュートの省エネ性はさらに高まっていくと考えられます。

エコキュートは、再生可能エネルギーである空気を使用しているのも大きな特徴です。

非常用タンクとして利用できる

ヒートポンプで沸かしたお湯は貯湯タンクに貯められているため、地震などの災害で水道の供給が断たれてしまった場合も、しばらくは水を使用することができます。

ガス給湯器には貯湯タンクは設けられていないので、貯湯タンクを非常用タンクとして使えるのはメリットの一つといえるでしょう。

貯湯タンクに貯められている水は、そのまま飲用水として飲むことはできないので、沸騰させて消毒処理を行なってから飲むなどの対策が必要です。

エコキュートのデメリット

エコキュートのデメリット

エコキュートのメリットをご紹介しましたが、エコキュートにはデメリットも存在しています。

どのようなデメリットがあるか見ていきましょう。

設置費用が高い

大きなデメリットとして考えられるのが、エコキュートを設置するためには高額な費用が必要になるという点でしょう。

エコキュートは従来の電気温水器やガス給湯器と比べると、本体価格が高いためどうしても初期費用が高額になってしまいます。

日々の光熱費の節約は可能ですが、あまりお湯を使わないご家庭の場合には節約分が少なくなり、初期費用分を回収するのに時間がかかる場合があります。

エコキュートはお湯の使用料が多いご家庭ほどお得になる商品なので、事前にお湯の使用料を調べ、シュミレーションをしておいた方がよいかもしれません。

設置できない可能性がある

エコキュートを設置するためには、屋外にヒートポンプユニットと貯湯タンクの設置スペースが必要になります。

ガス給湯器と比べると、大きさにかなりの差があるため、設置したい場所に十分なスペースがあるか事前に確認しておきましょう。

十分なスペースがない場合には、設置ができない場合もあるので注意が必要です。

水圧が下がる可能性がある

エコキュートは、沸かしたお湯を貯湯タンクに貯めておく、貯湯式と呼ばれる仕組みが採用されています。

通常使われる水道には、水を送り出すために300Kpa~500Kpaの水圧が加えられていますが、エコキュートの貯湯タンクには耐圧の限界があるため、減圧弁で水圧を減圧する必要があります。

エコキュートの減圧弁により150Kpa~180Kpaほどまで減圧されるため、エコキュートを設置することにより「シャワーの水圧が弱くなった?」と感じることもあるかもしれません。

低周波の騒音が発生する

エコキュートでお湯を沸かすときには、エアコンの室外機のような低周波の騒音が発生します。

エコキュートは電気代の安い深夜料金を利用してお湯を沸かすため、稼働するのが真夜中の時間帯になります。少しの騒音が近隣トラブルに発展する可能性もあります。

人間の耳では聞き取りにくい低周波の騒音なので、それほど気にならないかもしれませんが、人によっては不快に感じる場合もあるので、トラブルを防止するために近隣に事前に説明しておくか、騒音対策を取るようにしましょう。

お湯切れを起こす可能性がある

エコキュートは電気代の安い深夜中にお湯を沸かし、貯めたお湯を翌日の日中に使用するわけですが、その日のお湯の使用量が多いとタンク内のお湯を使い切ってしまい、お湯切れを起こしてしまいます。

一度お湯切れを起こしてしまうと、次に沸かすまでに時間がかかるため、しばらくの間お湯を使用できなくなります。

親族や友人を家に泊める機会が多く、お湯の使用量に変動のあるご家庭は、ワンサイズ大きいタイプのエコキュートを設置するなどの対策が必要です。

使用できない入浴剤がある

エコキュートは、循環ポンプや配管の金属腐食を防止するために、入浴剤の使用が制限されていることがほとんどです。

使用に注意が必要な入浴剤

・濁っていたり、とろみのある入浴剤
・泡がブクブク出る発泡成分のある入浴剤
・硫黄や酸、アルカリ性や塩分が含まれた入浴剤
・漢方や生薬など、お湯に溶けない固形物の入浴剤

これらの入浴剤を使用する際には注意しましょう。

せっかく高額な費用で設置したエコキュートを長期間使用していくために、使用できな入浴剤は使わないようにすることが重要です。

使用できない入浴剤は商品やメーカーによって違うので、入浴剤を使用する前にしっかり確認しておきましょう。

エコキュート導入時の注意点とは?

エコキュート設置時の注意点とは?

エコキュートのメリット・デメリットについてお伝えしました。

最後に、エコキュートを実際に導入する際の注意点を紹介しておきたいと思います。

電気プランの見直しをしておく

電力会社が用意している電気料金プランには様々な種類があります。エコキュートは深夜電力を使ってお湯を沸かすため、深夜料金が安いプランに切り替えておかないと、電気代の節約効果が薄れてしまう可能性があります。

深夜料金が設定されている時間帯も各電力会社によって違うので、今契約している電力プランがエコキュートの節約効果が高い電気プランかどうかを見直しておきましょう。

補助金が出ないかチェックしておく

2010年(平成22年)に、国がエコキュートの設置を補助してくれる補助金制度は終了しましたが、地方自治体独自で補助金制度を設けている場合があります。

エコキュートを設置するために上限10万円の補助金を出してくれる地方自治体もあります。地域や時期によって制度内容に違いがあるので、ご自身の住んでいる地域でそのような制度がないか調べておきましょう。

まとめ

今回の記事では、エコキュートについてご紹介しました。エコキュートを設置した方が良いかは、ご家庭の電気使用状況や地域によっても異なります。

エコキュートの設置には相応の費用が必要になるため、節約効果が高いかどうかをしっかりシュミレーションしておきましょう。

リフォーム会社やハウスメーカーはエコキュートの設置を勧めてくると思いますが、ご自身でメリット・デメリットを踏まえて判断することが重要だと思います。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。