設計料(設計費)の相場とは?設計費用でトラブルを起こさないための注意点

2022年10月22日

建築設計料(設計費)の相場とは?設計費用でトラブルを起こさないための注意点

設計事務所やハウスメーカー、工務店に依頼して家を建てるときには、建築費用とは別に設計料が必要になりますが、設計料について詳しく理解している人もそれほど多くはないのではないでしょうか。

本記事では、設計料とはどのようなものなのか、一般的な相場はいくらなのかをはじめ、設計費でのトラブルを防止するための注意点をいくつかご紹介いたします。

マイホームの新築を、設計事務所やハウスメーカーに依頼することを検討している人はぜひ最後まで読んでください。

設計料ってどんな費用?

設計料ってどんな費用?

建物を建てるためには、どんな土地にどんな建物を建てるかを設計図面に描く必要があります。デザイン性だけでなく、法律的・構造的に問題がないかを考慮して設計しなければいけないため、相応のスキルと経験が必要になります。

設計料には設計料だけでなく監理料も含まれているため、設計監理料と呼ばれることもありますが、設計料と呼ぶのが一般的です。ここからは、設計料にはどのような業務が含まれているのか?標準業務と標準外業務の違いは何なのか?設計料と監理料の違いについて解説していきます。

設計料に含まれる業務内容

設計料とは、顧客のニーズや条件を整理し、地域ごとに異なる法令上の制約条件を確認したうえで、設計図書を作成する設計業務への対価のことで、建設工事にかかる工事費用とは異なります。

設計料は、業務経費(人件費、直接経費、間接経費、特別経費)と技術料等経費(設計士の技術への対価)で構成されます。

経費項目 内容
業務経費 直接人件費 設計業務に従事する人の一日あたりの人件費を設計に従事する日数を乗じた合計額
直接経費 設計図書を作成するにあたり必要となる印刷代や製本代、交通費などの経費
間接経費 設計事務所を運営するために必要な電気代やガス代、テナント賃貸料などの経費
特別経費 建設地が遠方の場合に必要となる出張費や施主の依頼に基づいて必要となる経費
技術料等経費 設計業務に際して求められる技術力やアイデア力などの対価に支払われる費用

具体的な業務内容としては、お客様との打ち合わせや条件整理、役所等との協議や確認申請業務、施行会社の選定や工事監理、検査や引き渡し時の立会いなどがあります。

標準業務と標準外業務の違い

設計料は、「標準業務」と「標準外業務」に分けられています。標準外業務を依頼する場合には、追加料金が発生します。どの業務が標準業務に該当するかは設計事務所ごとに異なる場合が多いので、実際に依頼する場合には事前に確認しておきましょう。

標準業務の例

  • お客様との打ち合わせ
  • お客様の条件を整理
  • 物件調査、法令上の条件整理
  • 役所等の関係機関との打ち合わせ
  • 設計図書の作成
  • 概算工事費の算出、検討

標準外業務の例

  • 建築プロジェクトの企画立案
  • 都市計画法や消防法の許認可手続き
  • 防災計画の企画立案、書類作成
  • 住宅性能評価制度の申請
  • 長期優良住宅、フラット35等の申請
  • 補助金等の申請

標準業務に含まれているものでも、例えば打ち合わせの回数が極端に多かったり、設計図書の大幅な修正を頻繁に繰り返す場合には追加料金が発生する場合があります。どのような場合に追加料金が必要になるかを事前に確認しておくことが重要です。

設計料と監理料の違い

設計料のことを「設計監理料」と呼ぶこともあります。一般的に設計料には監理料も含まれています。

設計料とは「建設工事を始める前に行う業務」に対する料金のことです。お客様の希望を整理したり、土地の形状や法令などの条件の整理、市役所等との協議、基本設計や実施設計、建築確認申請業務が設計料に当てはまります。

監理料とは「建設工事が問題なく進むために行う業務」に対する料金のことをいいます。地域ごとに施行会社を選定したり、施行会社から提出された見積もりを精査します。設計図書通りに工事が行われているかを監理し、検査や引き渡しへの立会いに要する費用が監理料に当てはまります。

設計料の相場はいくら?

設計料の相場はいくら?

設計料の算出方法は必ずしも統一されている訳ではありません。それぞれのハウスメーカーや設計事務所によって様々な価格に設定されています。

それぞれの相場を把握することは、余分な設計料を支払うリスクを下げることにつながります。ハウスメーカーや設計事務所に設計の依頼を検討している人はぜひ参考にしてください。

一般的な相場(ハウスメーカー・工務店)

ハウスメーカーや工務店に設計を依頼する場合、設計料の一般的な相場は工事費用の2%~5%だと言われています。例えば2,000万円の住宅を建築した場合、設計料は40万円~100万円が設計料の相場ということになります。

ハウスメーカーや工務店はイチから設計するのではなく、土地の形状や大きさに合わせてあらかじめいくつかの設計パターンを用意していることも多く、設計料を安く抑える工夫をしています。

ハウスメーカーや工務店は設計業務と建設業務の両方を担うため、設計料を建設工事費用に含むことで設計料を無料にしている場合もあります。

又、設計料が必要なハウスメーカーや工務店でも、提案時には無料で設計図書を作成してくれますが、契約後には設計料が必要になる場合もあります。後々トラブルにならないためにも、設計料のルールを事前に確認しておくようにしましょう。

一般的な相場(建築士・設計事務所)

設計事務所に設計を依頼する場合、設計料の一般的な相場は工事費用の10%~15%だと言われています。例えば2,000万円の住宅を建築した場合、設計料は200万円~300万円が設計料の相場ということになります。

ハウスメーカーや工務店と比べて高く設定されていますが、その理由は設計事務所は設計を専門に行っているため、難しいデザインの設計も請け負ってくれるのが大きな違いだといえるでしょう。

又、ハウスメーカーや工務店のように、ある程度の設計パターンを用意しているのではなく、土地の形状に合わせてイチから設計をしてくれるのも嬉しいポイントです。

イチからデザインするため、時間がかかってしまうデメリットはありますが、「時間と費用がかかってもいいから、飽きのこない独自性の高い住宅に住みたい」というこだわりのある人は、設計事務所に設計を依頼するのが良いかもしれません。

設計に時間がかかるため、ハウスメーカーや工務店と違って設計に着手した時点で着手金を請求する設計事務所も多いため、事前にどの時点から費用が必要になるかを確認しておくことをおススメ致します。

設計を依頼する際の注意点

設計を依頼する際の注意点

設計事務所に注文住宅の設計を依頼した場合、完全オーダーメイドの家を建てることができますが、全ての設計事務所が建築主の希望通りの住宅を建てられるとは限りません。

後々になって「違う設計事務所に依頼しておけば良かった…」と後悔しないためにも、設計事務所に設計を依頼する際の注意点を把握しておきましょう。

設計士との相性は悪くないか確認する

設計士にはこれまでの経験や性格によって様々なタイプが存在しています。依頼主の考えを汲み取って様々な提案をしてくれる設計士もいれば、自分の考えを強調する設計士など人によって様々です。

設計士との相性が悪いと打ち合わせがスムーズに進まないだけでなく、自分の考えや希望を伝えることができなかったり、意見を聞いてくれなかったりして、家づくりの方向性が大きく変わってしまう可能性があります。

設計士との相性は家づくりを大きく左右してしまうため、依頼しようとしている設計士と一丸となって家づくりに取り組むことができるかを事前に確認しておくことが重要です。

契約条件を事前にしっかり確認する

知り合いの設計士に依頼する場合などに多く見受けられますが、人間関係が出来ているからといって契約条件をあまり確認せずに契約するのは危険です。

住宅の建築には多額の費用が必要になるため、事前に契約条件を確認しておかないと、後々大きなトラブルに発展してしまう可能性も考えられます。

例えば、設計費はどの段階で必要になるのか?キャンセルした場合のキャンセル料金はいくらなのか?など、あらゆる場面を想定して、契約条件を事前にしっかり確認しておきましょう。

予算オーバーしないかを確認する

設計事務所が作成した見積書の内容を確認するとともに、追加費用が必要になるケースをしっかりと確認し、予算がオーバーしていないか?予算オーバーになる可能性はないかを確認しましょう。

というのも、設計事務所に依頼する場合は、工事の手間や材料の値段を正確に把握しておらず、設計事務所での判断によって実際の工賃よりも安い見積もりを作成してしまうことがあるからです。

設計業務が完了し、いざ実際に工事に入った後に、予想していた以上に工事に手間がかかってしまい、元々の見積もりから多くの工事費用がかかってしまう可能性もあるので、設計事務所には本来の予算より少し少なめに予算を伝えておくようにするか、予算を多めに確保しておく費用があります。

受賞歴やメディア掲載歴を妄信しない

注文住宅の設計を依頼する設計士(建築士)を選ぶ際、テレビや雑誌などを参考にする人も多いでしょう。又、過去の受賞歴を参考にする人もいると思います。

しかし、いくら過去に素晴らしい家を建築していたとしても、あなたの理想を家を建てることができるかは分かりません。仮にデザインが優れていたとしても、予算が大きくオーバーしてしまっては、理想の家とは呼べないでしょう。

もちろん受賞歴やメディア掲載歴は一つの参考材料にはなりますが、それらをあまり妄信しすぎずに、設計士との会話を通じて、自分たちにあった設計士かどうかを見分けることが重要です。

設計士事務所と工務店の連携を確認する

注文住宅の建築には、設計士事務所と工務店の連携が不可欠で、例え設計士がどれだけ素晴らしい設計図書を作成したとしても、実際に建物を建築するのは工務店との連携がされていないと、建築現場はトラブルが連発してしまいます。

設計図書ではキレイに収まっていても、実際に工事をしてみないと判断できないことは多々存在しています。もし現場サイドで施工が難しいと判断された場合には、工事の進行が滞りがちになってしまう可能性もあります。

そのような事態にならないために、設計事務所と工務店の連携がしっかりとされているかを確認しておくことが重要です。

当社は「設計」と「施工」をワンステップで行います。

本記事では「設計料」を題材に記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?設計事務所によって技術や経験に大きな差があり、その技術や経験のレベルによって設計料にも大きな違いがあります。

設計事務所に設計を依頼する場合には、少なくても数百万円の設計料が必要になるため、そのお金を支払う価値をあるかを事前に見極めることが重要です。

他人にとっては良い設計士でも、自分にとっては良い設計士ではないことも考えられるため、一度の面談で依頼するかを決めるのではなく、数回の面談を行い慎重に設計士を選ぶことをおススメ致します。

ちなみに当社は、一級建築士事務所でありながら、特定建設業許可を取得した工務店でもあります。設計~施工までワンステップで行うことができるため、兵庫県・大阪府で住宅の建築を検討している方はぜひお気軽にご相談ください。