建売住宅のメリット・デメリットとは?後悔しないために購入時の注意点を知っておこう

2022年10月8日

建売住宅のメリット・デメリットとは?後悔しないために購入時の注意点を知っておこう

新築住宅の購入を考えている人のなかには「建売住宅と注文住宅どっちがいいだろう…」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

建売住宅はお手頃なイメージが強い一方で、「注文住宅よりも品質的に劣っているのでは?」と心配している人もいるかもしれませんね。

本記事では、建売住宅と注文住宅・売建住宅の違いをはじめ、建売住宅のメリット・デメリット、建売住宅の購入時の注意点などをご紹介しています。

そもそも建売住宅とは?

そもそも建売住宅とは?

建売住宅という言葉は知っていても、建売住宅がどのようなものかを具体的に知っている人はそれほど多くないのではないでしょうか?

建売住宅とはどのようなものなのか?建売住宅と注文住宅や売建住宅の違いは何なのかについてお伝えしていきます。

土地建物セットで販売されている

建売住宅とは、土地と建物がセットで販売されている住宅のことをいいます。土地と建物の売主が同一になるため、建売住宅の売主は必ず宅建業者ということになります。

建売住宅のなかには完成後に販売される住宅もあれば、建築前や建築中の段階で販売される場合もありますが、どちらも「間取りや仕様が固定されている」というのが大きな特徴です。

又、建売住宅には、一区画のみ販売されている場合もあれば、複数区画で販売されている場合もあります。たまに一区画のみの販売は建売住宅、複数区画の販売は分譲住宅と誤認識されている場合もありますが、一区画や複数区画に関わらず、土地建物がセット販売されていれば建売住宅といえます。

売建住宅との違い

建売住宅と似た言葉に「売建住宅」というものがあります。建売住宅と売建住宅の最大の違いは、「間取りや仕様をある程度自由に決められる」という点が挙げられます。

宅建業法では、建売住宅として広告するためには、建築確認を下ろしてからでないとできないと定められています。建築確認が下りていない状態で販売するには、「土地価格1980万円、建物価格2000万円」というように、それぞれの価格を分けて表示し、売建住宅として広告をすることになります。

そのため、ポータルサイトやチラシなどで、土地と建物価格が別々に表示されている場合は売建住宅であることがほとんどです。業者によって異なりますが、売建住宅は間取りや仕様を決められたパターンから選ぶことができます。

売建住宅のことを「建築条件付き土地」ということもあり、どちらも同じ意味です。土地の売主があらかじめ決めた工務店で建物を建てる必要があります。どうしても自分が選んだハウスメーカーで建物を建てたい場合は、土地の売主に対して条件を提示することで建築条件を外してもらえるケースもあります。

又、建売住宅は土地の所有者名義で建物を建てるのに対し、売建住宅は「土地先行決済」で進める場合もあります。その場合は、土地の所有権を先に移してから、購入者名義で建物の建築を依頼することになります。

注文住宅との違い

注文住宅とは、土地の売主とは関係なく自分で選んだ工務店やハウスメーカーで建物を建てることです。いわゆるオーダーメイドの住宅といえるため、建物の間取りや仕様にとことんこだわりたい場合は、注文住宅を検討する必要があります。

自分の希望を工務店やハウスメーカーに伝え、入念に打ち合わせを重ねて自分好みの家づくりを楽しめる反面、建築予算が高くなりがちで、土地選びに苦戦してしまう可能性が高くなります。

全てイチから決めていくため、土地選びや打ち合わせ、設計などに時間もかかってしまうため、お金と時間に少し余裕があって、建物にとことんこだわりたい人には向いている方法だといえます。

建売住宅のメリット

建売住宅のメリット

建売住宅とは何かをご理解いただいたところで、ここからは建売住宅のメリットをお伝えしていきます。

これから建売住宅の購入を検討している人はもちろんのこと、注文住宅にしようか悩んでいる人にとってもお家選びのヒントになるはずです。

購入総額を抑えられる

建売住宅を購入する大きなメリットとしては、注文住宅と比べて購入総額を抑えられることが挙げられます。

注文住宅は、一人ひとりのお客様と綿密な打ち合わせを重ねてお家を建てていくため、人件費やデザイン設計費が余分に必要になるほか、お家ごとに使用する建具や設備が異なるため、材料費も高くなる傾向にあります。

それに比べて建売住宅の場合は、分譲会社の采配で住宅を建てられるため人件費やデザイン設計費を節約できるとともに、同じ規格や仕様で建築するため、材料をまとめ買いすることによる材料費の節約が可能です。

そのほかにも、注文住宅の場合には、既存住宅の解体費用、造成費用、地盤調査や改良にかかる費用、外構工事費などが別途必要になりますが、建売住宅の場合は物件価格に全て含まれているため、購入総額に変動がなく安心して購入できるのも大きなメリットといえるでしょう。

実物を見てから判断できる

ハウスメーカーのモデルハウスは、標準仕様よりもかなりグレードの高い仕様で建てられているケースがほとんどです。そのため、標準仕様で建築を依頼する施主は、標準仕様で建てられた住宅を見ることができないまま購入を決断しなければいけません。

又、仮に同じ仕様で建てられたモデルハウスを見れたとしても、間取り図面や設計図面から完成イメージを把握するのは難しいため、頭の中のイメージと完成した住宅に差異が生じることも少なくありません。

建売住宅の場合は、実際に購入する物件を見ることができるため、「自分が思っていた住宅と違った…」といった後悔をするリスクが低くなります。

購入手続きが簡単にできる

建売住宅を購入する場合、建物がすでに完成しているため購入手続きがとても簡単です。基本的には、不動産の売買契約と住宅ローンの手続きをするだけで購入手続きが完了します。

注文住宅では、土地選びとハウスメーカー選びを並行して進める必要があります。土地の購入を担当する会社とハウスメーカー双方の調整を施主自身がしなければいけない場合もあるため、気疲れすることもあるかもしれません。

又、注文住宅の場合は、ゼロから家づくりをするため打ち合わせにも相当の時間がかかるほか、打ち合わせには相応の知識が求められます。土地と建物を別々に購入する必要があるため、別々の契約が必要になるとともに、住宅ローンも土地購入時と建物引き渡し時に実行されます。住宅ローンの種類によっては、土地購入時に利用した住宅ローンの支払いが先にスタートする場合もあるため、事前の確認が必要です。

入居までの期間が短い

建売住宅は完成しているケースが多いため、購入手続きが完了すればすぐに入居が可能です。

注文住宅の場合は、土地の地盤改良や造成工事、建物の打ち合わせや設計、建物の建築工事などに多くの時間が必要となり、基本的に6~12カ月ほどの時間を要します。

打ち合わせの進み具合によってはもっと時間がかかることもあるため、「転勤ですぐに引っ越したい…」という人にとっては、注文住宅での建築は難しいかもしれません。

建売住宅のデメリット

建売住宅のデメリット

建売住宅にはメリットがある反面、デメリットも存在しています。メリットとデメリットを把握し、自身には建売住宅が向いているかを判断しましょう。

建売住宅のデメリットとしては主に3つ考えられますので、順に解説していきます。

間取りや仕様を変更できない

建売住宅はすでに完成しているため、間取りや仕様の変更ができません。建築前や建築中の物件であっても、建築確認が下りている以上間取りの変更はできませんし、材料の手配も済んでいるため仕様変更ができないことがほとんどです。

運よく自身が思い描く理想の間取りや仕様の住宅に出会うことが出来れば良いですが、ほとんどの場合はどこかで妥協する部分が出てくるかもしれません。

どうしても納得がいかない部分はリフォームで補うことは可能ですが、その場合はリフォーム費用が必要になるため、あらかじめ住宅予算に含んでおくなどの工夫が必要となります。

同じような外観の住宅が多い

一区画のみの建売住宅であればそれほど気にならないかもしれませんが、大型分譲地などの場合には、同じような外観の住宅が並んでいることを気にする人もいるでしょう。

建売住宅では、物件ごとに外壁や屋根材のメーカーなどを変えることはほとんどしません。施行会社もなるべく外観が被らないように配慮はしていますが、どうしても似たような外観になりがちです。

デザインの面でも、あまりに奇抜なデザインにしてしまうと購入者が限定されてしまうため、無難なデザインで建てられていることがほとんどです。個性を重視したお家を建てたいと思っている人は、注文住宅を選んだ方が良いかもしれません。

多くの人が出入りしている

建築前や建築中に購入者が決まっている場合であれば別ですが、多くの建売住宅では建物の完成後にオープンハウスを開催して販売活動を行います。土日などに「オープンハウス開催中」などの看板や幟を見た人も多いはずです。

オープンハウスでは多くの人がその住宅の内部を見学することになりますが、人によっては「色んな人に見られている家に住みたくない…」と抵抗感を覚える人もいるかもしれません。

又、多くの人が家を見学することによって、内部のクロスやフローリングにキズが付いてしまうことも考えられます。そのような場合は、引き渡し前に補修をしてくれるかどうかを不動産会社に確認しておくようにしましょう。

建売住宅の購入で後悔しないための7つの注意点

建売住宅を購入する際の注意点

建売住宅に限ったことではありませんが、マイホームを購入する場合には注意しておくべき点があります。建売住宅の購入で後悔しないために、以下の7つのポイントを押さえておきましょう。

事前に諸費用明細を作ってもらう

建売住宅に限らず、不動産を購入する際には諸費用が必要になります。必要になる諸費用の金額は物件ごとに異なるため、事前に諸費用明細を作ってもらい、いくら必要になるかを把握しておくことが重要です。

物件によっては「水道負担金」や「外構費」などが別途必要になったり、網戸がオプション扱いになっていることもあるので、物件価格には何が含まれていて、どのような諸費用が必要になるかを事前に把握しておきましょう。諸費用については別の記事で詳しく解説しているのでそちらの記事も併せてご覧ください。

新築戸建て購入時の諸費用相場をシミュレーション!ローン手数料などの内訳も解説します
新築戸建て購入時の諸費用の内訳と相場シミュレーション!ローン利用時の手数料もご紹介

続きを見る

アフターサービスの内容を確認する

最近の新築住宅では、分譲会社に対して、柱や梁、基礎といった基本構造部分や、屋根や外壁からの雨水の侵入(雨漏り)に対して、10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。

しかし、例えばキッチン設備や浴室設備、建具やクロスの剥がれに対するアフターサービスは会社ごとに定められているため、購入する物件のアフターサービスはどのような内容になっているかを確認することが重要です。

又、分譲会社やハウスメーカーによっては、柱や梁といった基本構造部分に対しての保証を10年から20年に引き延ばすことができることもあります。アフターサービスが充実していないと、マイホーム購入後に不具合が発生したとしても、自費で修理をしなければいけなくなってしまうため必ず確認しておきましょう。

立ち合い検査をしっかり行う

立ち合い検査とは、購入した新築戸建ての引き渡しを行う前に、分譲業者と一緒に住宅に不具合がないかを見て回る検査のことです。この時に不具合を見つけると、引き渡し前に補修工事をしてもらうことになります。

「クロスが剥がれていないか?」「フローリングが浮いていないか?」など、しっかり確認しておきましょう。引き渡し後に伝えると責任の所在が不明確になってしまうため、気になるところがあれば遠慮なく分譲会社に伝えることが重要です。

工事が完了してから決済を行う

よほどのことがない限りないとは思いますが、たまに聞くトラブルの一つとして「建物の完成前に代金を支払ってしまった」ということがあります。

完成済みの建売住宅を購入する場合には問題ありませんが、建築前の建売住宅を契約した場合には、必ず建物が完成してから代金の支払いを行いましょう。

完成前に代金の支払いを要求してくる場合、分譲会社の経営が上手くいっていない可能性が考えられます。「代金支払い後に会社が倒産してしまい、建物の引き渡しがされない」という事態になることも考えられるため、必ず工事が完了してから決済を行うようにしましょう。

設備の確認をしっかり行う

建売住宅の設備は物件ごとに異なります。そのため、物件によっては「網戸がない…」「床下収納がない…」のように、付いていると思っている設備が付いていない場合も考えられます。

同じ分譲地内でも、モデルハウスとして使用していた住宅には、カーテンレールや家具、グレードの高い住宅設備が付けられていることがありますが、自分が購入しようとしている住宅に同じ設備が付けられているとは限りません。

後々後悔しないためにも、自分が購入する建売住宅にはどのような設備が付けられているかをしっかりと確認するようにしましょう。

住宅性能表示の有無を確認する

住宅性能表示とは、建築のことにあまり詳しくない一般消費者にも、住宅性能が一目で分かるように表示する制度のことです。住宅性能表示制度には、耐震等級や断熱等級、省エネ等級といった等級があります。

住宅性能を表示するかは分譲業者に委ねらえていますが、住宅性能表示制度によって評価されている住宅は、フラット35の金利優遇が受けられたり、住宅ローン控除の控除額が増えたり、様々なメリットがあります。

一般の住宅に比べて耐震性能や断熱性能に優れている住宅に住むことができるため、住宅性能表示の有無を事前に確認するとともに、どの分野の性能が優れている住宅なのかを事前に確認するようにしましょう。

住宅性能表示制度については別の記事で詳しく解説しているので、そちらの記事も併せてご覧ください。

耐震等級3(最高等級)は必要?住宅性能表示制度で評価される10分野の項目を解説
住宅性能評価書を取得するメリットとは?評価項目や費用相場、等級についてわかりやすく解説

続きを見る

周辺環境は実際に歩いて確認する

建物は将来的にリフォームなどで変えることはできますが、立地は今後一切変えることはできません。そのため、今後も住み続けたいと思える環境かどうかを、実際に歩いて確認しておくことも重要です。

「住宅の周りにスーパーやコンビニなどの買い物施設はあるか?」「駅までの距離は遠すぎないか?」「子供が通学するのに歩いていける距離か?」など、実際に生活した気分になって周辺を歩いて確認しましょう。

不動産会社が用意している販売資料にもある程度の情報は載っていますが、資料に記載している施設への所要時間は「80mを1分」で計算しています。実際に歩いて計測した時間ではないため、やはり自分の足で確認しておくことが大切です。

建売住宅購入なら当社にお任せください

この記事では、建売住宅について解説してきましたがいかがだったでしょうか?建売住宅はすでに完成しているため、気軽に購入できる分、注意を怠ると将来的に後悔してしまうリスクも抱えています。

せっかく夢のマイホームを手に入れたのに、将来的に後悔してしまうのはとても悲しいことです。後悔しないためにも、建売住宅のメリット・デメリットを把握し、注意点を意識しながら購入を決めるようにしましょう。

当社では、お客様がずっと安心して住み続けられるように、土地選びや建物選びについて的確なアドバイスを行うよう心掛けています。一級建築士事務所として、プロ目線でアドバイスをしますので、大阪・兵庫で建売住宅の購入を検討している方はぜひ気軽にお問い合わせください。