擁壁の種類と特徴をご紹介!擁壁工事にかかる費用の目安や起こりうるトラブルとは?

2023年1月11日

擁壁の種類は何がある?擁壁工事にかかる費用の相場や起こりうるトラブルを紹介

平坦な土地に建物を建てる際には気にしなくて良い「擁壁」ですが、山手立地でひな壇になっている土地や、道路や隣地と高低差がある土地に建築を検討している場合には、擁壁の存在はとても重要になってきます。

初めてマイホーム購入を検討している人にとって、擁壁はとてもやっかいな存在になり得ます。擁壁工事の費用も業者によって大きく差があったりするため、事前に擁壁に関する最低限の知識を備えるとともに、おおよその工事費用の相場を知っておくことは大切です。

この記事では、初めて擁壁工事を発注しようとしている人向けに、擁壁の基礎知識をはじめ、擁壁の種類や擁壁工事に必要な費用の目安、擁壁工事によって起こりうるトラブル事例をご紹介いたします。

そもそも擁壁とは何か?

そもそも擁壁とは何か?

それではまず、擁壁に関する基礎知識についてお伝えしていきたいと思います。

ここでは、擁壁の役割や必要性、擁壁工事を行うために必要な「確認申請」についてや、擁壁工事と土留め工事の違いなどについてご紹介いたします。

擁壁の役割・必要性とは?

擁壁は、一般的に傾斜地や高低差のある土地に建物を建てる場合に必要となる構造物です。土地に建物の荷重や圧力がかかったり、雨などで土砂が流れることで起こる土砂崩れを防ぐことができます。

一般的には、鉄筋コンクリートやコンクリートブロックなどで斜面の土地を留めるための壁上の構造物をつくり、高くなっている部分に建物の荷重がかかっても斜面の土地が流れないようにします。

又、がけ条例などが定められている地域では、擁壁がないと外壁を斜面地から相応の距離を離さないと建物を建築することができません。そのため、擁壁は斜面地の崩壊を防ぐだけでなく、建物プランを考える上でもとても重要な役割を持っているといえます。

擁壁工事に確認申請は必要なのか?

各自治体によって細かい規定は異なりますが、多くの自治体では土地と道路の高低差が2mを超える場合には擁壁を設けなければいけません。そして、建築基準法で、高さが2mを超える擁壁工事を行う際には建築確認申請が義務付けられています。

建築確認申請とは、新しく建築物を建てるときに必要な手続きで、建てようとする建築物が建築基準法やその他の各種条例等を守っているかチェックされます。建築確認は自治体か民間の行政指定確認検査機関によって行われます。

擁壁の建築確認申請と建物の建築確認申請は別々に行われ、一般的には擁壁の建築許可が下りてから建物の建築確認申請を行うため、余分に時間がかかります。そのため、擁壁工事を行う際は早めのスケジュール設定が必要となります。

擁壁工事と土留め工事の違いとは?

擁壁工事を土留め工事と同じだと考えている人も多いと思いますが、実は擁壁工事と土留め工事には違いがあります。擁壁工事と土留め工事を混合しないように、ここで簡単に違いを説明しておきたいと思います。

土留め工事とは、崖や斜面地の土が崩れないようにコンクリートや石等で固め、「土を留めるために行う工事」のことを指し、例えば住宅街の裏側の山が土砂崩れを起こさないように山の一面をコンクリート等で覆うことも土留め工事の一種となります。

次に擁壁工事とは、「土を留めるための壁をつくる工事」のことを指します。つまり、土留めとは「土を留めること」、擁壁とは「土を留める壁」のことです。同じように思ってしまいがちですが、微妙な違いがあるので頭の片隅にでも置いておいてください。

擁壁の種類・特徴・擁壁工事費用の目安

擁壁の種類・それぞれの特徴と費用相場

擁壁にはどのような種類があるのでしょうか?擁壁がある土地の購入を検討している人は、新たに作る擁壁だけでなく、既存の擁壁についても理解しておくようにしましょう。

ここからは、主に使われている3種類の擁壁の特徴や費用の目安をご紹介いたします。擁壁工事費用は依頼する工務店や地域、状況、擁壁の高さによって大きく異なりますのであくまで参考程度にお考えください。

コンクリート擁壁

最近ではコンクリート擁壁が主流で使われています。コンクリートの中に鉄筋を埋め込んで作る鉄筋コンクリート造(RC造)と、鉄筋を通さない無筋コンクリート造があり、強度的に優れている鉄筋コンクリート造が多く採用されています。

又、コンクリート擁壁には逆T型、L型、逆L型、重量式、もたれ式などの種類があり、土地の状況や立地に合わせて様々な構造を使い分けます。

引用元:フロンティアホーム

鉄筋コンクリート擁壁は、構造計算が用意で斜面に対して垂直に立てやすいため、すっきりと見栄えが良いとともに、強い耐震性能を持ち合わせています。全面をコンクリートで覆っているため、水抜き穴の設置が必須とされています。

擁壁種類 費用目安(/㎡)
鉄筋コンクリート擁壁 3万~11万円程度

ブロック擁壁

ブロック擁壁はブロックを積み上げて作る擁壁のことで、間知ブロックを積み上げていくものと、コンクリートブロックを積み上げていくもの等があります。

間知ブロックは軽量、低価格で取り扱いやすい上、水平や斜めなど積み方のバリエーションが豊富なことから、古くから利用されてきた擁壁です。住宅地などの高低差の大きい場所に作られ、高さ5m程度までの擁壁を設置することができます。

コンクリートブロック擁壁(CP型枠擁壁)も多く利用されており、高さ3m程度までの強い圧力にも耐えられるよう、コンクリートブロックの中に鉄筋と生コンクリートを充填して作られます。

擁壁種類 費用目安(/㎡)
間知ブロック擁壁 2.8万~7万円程度

石積み擁壁

石積み擁壁とは、その名のとおり石を積み上げて作る擁壁のことをいい、加工成形した軽石を積み上げて作る大谷石積み擁壁のほか、天然石を積み上げて作る練り石積み擁壁や空石積み擁壁等があります。

大谷石積み擁壁は1950年~1960年ごろによく利用されていたものですが、軽石のため比較的強度が弱くもろいため、現在では建築基準を満たしていないため利用されていません。

練石積み擁壁とは石を積み上げていく際に、石と石の間にモルタルやコンクリートを流し込み接合して積み上げていく擁壁に対し、空石積み擁壁はモルタルやコンクリートを使わずに石を積み上げていくため、安全性に注意が必要です。

擁壁種類 費用目安(/㎡)
練り石積み擁壁 2.5万~5万円程度

擁壁によって起こりうる5つのトラブル

擁壁工事によって起こりうるトラブルとは?

擁壁工事はどうしても大がかりな工事になってしまいがちなため、工事によってトラブルが発生する可能性があります。又、擁壁のある不動産を購入した場合にも、トラブルに発展するリスクが潜んでいます。

安心して擁壁工事や不動産購入をするために、擁壁によって起こりうるトラブルを知っておき、トラブルを回避するための対策を考えておくことが大切です。

擁壁が崩壊して隣の家を損壊

擁壁にも耐用年数があり、一般的には50年ほどで寿命を迎えるといわれています。購入した不動産の擁壁が新しければ問題ありませんが、昭和時代に作られた擁壁がある場合には注意が必要です。

当時は基準をクリアして作られた擁壁でも、年数が経つにつれて劣化していき、壁面に亀裂やひび割れが入っていることがあります。又、空石積み擁壁や大谷石積み擁壁のように、そもそも強度が弱い擁壁の場合には崩壊リスクも高くなります。

万が一擁壁が崩壊して隣の家を損壊するようなことがあれば、多大な損害賠償を請求されますし、最悪の場合刑事事件に発展する可能性も考えられます。そのようなリスクを回避するためには、擁壁の状況や種類を事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

隣地と擁壁を共有している

一見すると擁壁全体が自分の敷地内にあるように見えても、実は擁壁を隣地と共有している土地も多数存在しています。特に山側立地でひな壇になっている住宅街ではそのような物件を多く見かけます。

擁壁だけに限ったことではありませんが、共有状態にある建造物は自分だけの意思で工事をすることができません。そのため、共有状態にある擁壁を工事する場合には、共有者全員の同意を取得する必要があります。

共有者全員が快く同意してくれれば問題ありませんが、万が一同意がもらえないことになれば、擁壁工事をすることができなくなってしまいます。そのようなリスクを回避するためには、事前に土地の境界を明確にし、擁壁が共有状態になっていないかを確認しておくことが重要です。

擁壁工事で地中埋設物が出てくる

擁壁を作り直すだけの場合にはあまり心配はいりませんが、例えば駐車場を作るために切土をして擁壁を作り直す場合等では、工事によって地中埋設物が出てくる可能性があります。

地中埋設物とは、地中に存在している古い水道管や浄化槽、井戸や基礎などのことをいいます。小さい物であれば特に問題はありませんが、たまに地中から大きな岩や鉄骨などが出てくることがあります。

万が一そのような地中埋設物が見つかった場合には、撤去にかかる工事代や廃棄代などで数百万円の費用が発生することも稀にあります。地中埋設物は事前に発見することが困難なため、「地中埋設物が出るかもしれない」と認識し、余裕のある資金計画を立てておくことが重要です。

擁壁工事で隣地の建造物を損壊

住宅が立ち並ぶ住宅街では、擁壁自体が隣地と繋がっていたり、隣地との間にブロック塀があったりするはずです。作業員の手違いや認識不足で、隣地の建造物を損壊してしまう可能性もゼロではありません。

擁壁工事によって隣地の建造物を損壊してしまうと、隣地所有者と損害賠償の請求がされたり、人間関係を損ねることになってしまいます。そのようなリスクを回避するためには、事前に現地で「どこまでを解体するか?」といったことをしっかり打ち合わせる必要があります。

又、作業員の手違いによって隣地の建造物を損壊してしまった場合に備えて、事前に工事を依頼する業者と取り決めをしておくことも重要です。

既存の擁壁では新築できない

不動産会社からは「擁壁を作り直さなくても新築できますよ!」と言われていても、実際に建物を建てようとすると擁壁を作り直さないと新築できないケースがあります。

パッと見はキレイな擁壁であっても、例えば建築確認が出されていない擁壁だったりして行政が不適格擁壁だと判断した場合には、擁壁を作り直さなければいけなくなってしまいます。そのような事態になると、住宅予算が大幅に狂ってしまうことでしょう。

不動産会社にも擁壁が得意な会社と不得意な会社が存在しているので、不動産会社の言葉を鵜呑みにするのではなく、事前に擁壁に詳しい建築会社に相談したり、建築概要書や検査済証の有無を調べて、既存の擁壁が利用できるかを調査しておくことが重要です。

擁壁工事が伴う新築・改装工事も当社にお任せ!!

この記事では擁壁についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか?不動産会社がキレイに擁壁を造った後の土地を購入する場合にはあまり考えなくても良いかもしれませんが、もし擁壁のある古家を購入して建て替えを検討している人にとっては、知っておいて欲しいことをお伝えいたしました。

擁壁工事が伴う新築は、平坦な土地の新築と比べて難易度が高くなるため、不動産会社・建築会社選びがとても重要になってきます。

当社は、一級建築士事務所であり不動産会社でもあるため、土地探しと新築の相談をワンストップで受けることが可能です。大阪・兵庫で擁壁工事が伴う新築や改装工事をご検討の方はぜひ気軽にご相談ください。

  • この記事を書いた人
井筒 健史

井筒 健史

20代半ばから不動産業界に従事し、これまで不動産仲介、中古住宅や土地の仕入れ、リフォームや建売住宅の企画など幅広く携わってきました。その経験で培った知識をホームページ上で掲載し、読者の方のお役に立てれば光栄です。