高断熱住宅の基準「HEAT20」とは?G1・G2・G3の違いや基準内容を解説

2021年6月9日

高断熱住宅の基準「HEAT20」とは?G1・G2・G3の違いや基準内容を解説

注文住宅で新築を検討している人の中には「省エネ住宅を建てたい」と思っている人も多いと思いますが、省エネ住宅を建築するのに欠かせない要素に「断熱性」があります。

断熱性の評価基準として、近年「HEAT20(ヒート20)」が注目されています。HEAT20はG1・G2・G3のグレードに区別されており、それぞれに断熱基準が設けられています。

この記事では、HEAT20の基本的な知識、基準内容やHEAT20に対応した住宅を購入するメリットについて解説していきます。

HEAT20とは?

HEAT20とは?

HEAT20とは、2009年に住宅業界の関係者や研究者などによって発足した団体「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」のことをいいます。

英語名で「Investigation committee of Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020 houses」といい、頭文字を取ってHEAT20と呼ばれています。

各地域において冬の期間の体感温度を10℃~15℃以上に保ち、暖房機器によって利用されるエネルギー量を削減し、ZEH(ゼロエネルギー住宅)などの優れた省エネ住宅を目指す推奨基準です。

HEAT20が目指すもの

HEAT20が設立された目的は、「環境負荷の低減」「高品質で安心安全」な住宅を普及させるために、居住空間の温熱環境やエネルギー性能を図る技術開発、研究調査を行なうとしています。

  • 建築的要素(断熱材・外壁・屋根・サッシなど)によって断熱性を高める
  • 設備的要素(空調機器・エコキュート・給湯器など)によって省エネ性を高める
  • 創エネルギー的要素(太陽光発電・蓄電池)によって創エネ性を高める

これらの3つの要素を住宅に取り入れ、快適で住みやすく、地球にも優しい住宅を普及させることを目指しています。

HEAT20の地域区分

日本列島は南北に伸びた形状をしており、最南の沖縄と最北の北海道では気温が大きく違うため、室内気温を10℃~15℃に保つために求められる断熱性能が大きく異なります。

HEAT20では、気温に応じて1~8の地域に区別されています。数字が小さいほど気温が低いため、求められる断熱性能が高くなります。

引用:一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会

上記のように8つの地域に区別されており、この区別のことを「地域区分」と呼んでいます。

なお、8地域である沖縄県は冬期間もそれほど寒くならないため、HEAT20では特に基準が設けられていません。

HEAT20の基準内容とZEHとの違い

G1・G2・G3の違いと基準内容

HEAT20ではG1・G2・G3といった「グレード」でも区別がされています。

G1が最も易しい基準で、数字が大きくなるにつれて厳しい基準が設けられています。各グレードと地域区分別に、どのような基準が設けられているのか見ていきましょう。

G1の基準

G1で求められる室内温度環境は以下のようになっています。

1・2地域 3地域 4~7地域
冬期間の最低体感温度 概ね13℃を下回らない 概ね10℃を下回らない
体感温度が15℃未満となる割合 3%程度 15%程度 20%程度
暖房負荷削減率 約20%削減 約30%削減

G2の基準

G2で求められる室内温度環境は以下のようになっています。

1・2地域 3地域 4~7地域
冬期間の最低体感温度 概ね15℃を下回らない 概ね13℃を下回らない
体感温度が15℃未満となる割合 2%程度 8%程度 15%程度
暖房負荷削減率 約30%削減 約40%削減 約50%削減

G3の基準

G3は2019年6月に定められた基準で、HEAT20の中では最も厳しい基準が設けられています。北海道基準のG2よりも高い断熱性能で、ドイツのパッシブ住宅を目指した性能となっています。

G3で求められる室内温度環境は以下のようになっています。

1・2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域
冬期間の最低体感温度 概ね16℃を下回らない 概ね15℃を下回らない 概ね16℃を下回らない
体感温度が15℃未満となる割合 2%未満 3%程度 2%未満
暖房負荷削減率 約50%削減 約60%削減 約70%削減 約75%削減

HEAT20とZEHのUa値を比較

断熱性を表す数字として「Ua値」という基準があり、このUa値が低いほど高い断熱性能であることが分かります。HEAT20とZEHのUa値の違いを比較してみましょう。

地域区分 ZEH基準 HEAT20 G1 HEAT20 G2 HEAT20 G3
1地域 0.40 0.34 0.28 0.20
2地域 0.40 0.34 0.28 0.20
3地域 0.50 0.38 0.28 0.20
4地域 0.60 0.46 0.34 0.23
5地域 0.60 0.48 0.34 0.23
6地域 0.60 0.56 0.46 0.26
7地域 0.60 0.56 0.46 0.26

上記の表のとおり、HEAT20ではZEHと比べて高い断熱性が求められていることが分かります。

HEAT20対応住宅のメリット

HEAT20対応住宅のメリット

HEAT20の基本的な部分についてご理解いただけたでしょうか?HEAT20に対応させることは、高い断熱性能を兼ね備えることであり、さまざまなメリットがあります。

HEAT20に対応した住宅には、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

気温差が少なく快適な暮らし

断熱性能が低いと、外気に接している壁や床、窓などから外気温が伝わり、室内温度を徐々に下げてしまいます。真冬の寒い時期に、窓や壁付近にいると寒く感じたことがあるのではないでしょうか?

この現象は「コールド・ドラフト」と呼ばれるもので、壁や窓で冷やされた空気が部屋の低い部分に向かって対流し、せっかく暖房設備で温めた室内を徐々に冷やしてしまいます。

断熱性の高い住宅ではこのような現象が起こりにくく、室内を快適な温度に保ちやすくなります。暖房設備のない廊下やトイレなども暖かくなるため、お家のどの部屋にいてもストレスなく快適に過ごすことができます。

結露・カビを防いで健康的

断熱性能を高めるために、高性能の断熱材を使うことで壁面の表面温度を上げることができ、室内の窓ガラスなどが濡れる「結露」の発生を防ぐことができます。

結露が発生し室内に水分があると、カビが大量発生してしまい、ぜんそくや喉の痛み、アトピー性皮膚炎などの原因になるといわれています。

又、建物内部で結露が発生すると、柱や梁などの構造体を劣化させる原因にもなるため、断熱性と防湿性を兼ね備えた断熱材を使用することが重要です。

省エネ効果で光熱費を節約

断熱性能が高いと外気温の影響を受けにくくなるため、室内を快適な気温に保つことができます。冬は暖かく、夏は涼しい室内環境を作ることができ、暖房や冷房にかける光熱費の節約効果が期待できます。

使用するエアコンや利用状況によって節約できる光熱費は大きく異なりますが、年間で10万円以上の節約が可能になっている住宅も多いことから、高い節約効果があることが分かります。

まとめ

HEAT20では、国が定める基準やZEHよりも高い断熱性が求められます。

断熱性を高めることは、家族の快適な暮らしや健康を守るうえでとても重要なポイントです。家づくりを考える際は、断熱性についても検討するようにしましょう。

当社では、断熱性の高い家づくりを心がけています。標準仕様でHEAT20のG2基準をクリアしています。G3に対応した住宅を建てることも可能ですので、HEAT20対応住宅をご検討の際はお気軽にご相談ください。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人
井筒 健史

井筒 健史

20代半ばから不動産業界に従事し、これまで不動産仲介、中古住宅や土地の仕入れ、リフォームや建売住宅の企画など幅広く携わってきました。その経験で培った知識をホームページ上で掲載し、読者の方のお役に立てれば光栄です。