ZEH住宅とは?どんな種類や特徴があるのかご紹介!補助金制度についても解説します。

2021年5月28日

ZEH住宅とは?どんな種類や特徴があるのかご紹介!補助金制度についても解説します。

新築住宅を購入する人に、光熱費などのランニングコストを節約できる省エネルギー住宅は人気ですが、その中でも「ZEH住宅」が話題を集めています。

国も、2030年までには新築住宅の平均がZEH住宅になることを目標に掲げており、補助金制度を設けるなどZEH住宅の普及を推進しています。

本記事では、ZEH住宅とはどのようなものなのか?補助金制度はどうなっているのか?など、ZEH住宅について紹介していきます。

ZEH住宅とは

ZEH住宅とは

ZEH(ゼッチ)とは(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のことで、省エネ性能が高い住宅のことをいいます。「ゼロエネルギー住宅」などと呼ばれることもあります。

生活するためには多くのエネルギー(ガスや電気など)を使用しています。ZEH住宅は、生活に消費するエネルギーの消費量よりも創るエネルギーの量をプラスにする住宅のことです。

国も、2020年までにハウスメーカーの新築戸建て住宅の平均値をZEH住宅に、2030年までには建売や集合住宅を含む全ての新築住宅の平均値をZEH住宅にすることを目標に掲げています。

実際に、積水ハウスの2020年度の新築戸建ZEH比率が90%を超えるなど、ZEH住宅は確実に普及され始めています。

ZEH住宅の特徴

ZEH住宅の特徴

ゼロエネルギーを実現するために大切なことは、「エネルギーの消費量を減らすこと」と「エネルギーを創ること」この2つがあります。

この2つの項目を実現するために、ZEH住宅には主に以下の3つの特徴があるので、順に解説していきます。

高気密・高断熱

住宅の気密性・断熱性能を高めることで、外気温の影響を少なくし、夏は涼しく、冬は暖かい住空間を実現できます。

具体的には、窓や外壁、断熱材の種類などに断熱性能の高い商品を選ぶことで、断熱性能を高めていきます。

断熱性能を測る数値として「UA値(外皮平均熱)」というものがありますが、ZEH基準で定められているUA値は、従来の省エネ基準よりも高い基準が設定されています。

省エネルギー性

ZEH住宅には、「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」を設置し、住宅内の消費エネルギーと太陽光発電等で創るエネルギーの収支を確認する必要があります。

省エネ性を高めるために、省エネタイプのエアコン、給湯器などの住宅設備を導入するとともに、消費電力の少ないLED電灯を使うことで、少ないエネルギーで快適に生活できる住宅を目指します。

創エネルギー性

ZEH住宅では、自力でエネルギーを創ることができる、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムの設置が求められます。

さらに、省エネルギーによって抑えられた消費電力を上回るほどの電力を創る必要があります。

「消費電力≦創エネルギー」を実現し、エネルギー的に自立した住宅を目指します。

ZEH住宅の種類

ZEH住宅の種類

一戸建て住宅は以下の3つのZEHに分けられています。

それぞれのZEHにはどのような特徴があるのか、順に見ていきましょう。

ZEH(ゼッチ)

ZEH(ゼッチ)に定義されている要件は以下のようになります。

【ZEHの定義】

・「断熱」と「省エネ」による省エネルギー率が20%以上

・「創エネ」を含んだ省エネ率が100%以上

これらの要件を満たした住宅は「ZEH」ということになり、国による補助金を受けることができます。

なお、創エネが難しい「寒冷地」「低日射地域」「多雪地域」には、Nearly ZEHという制度が用意されており、以下のように定義づけられています。

【Nearly ZEHの定義】

・「断熱」と「省エネ」による省エネルギー率が20%以上

・「創エネ」を含んだ省エネ率が75%以上

「寒冷地」「低日射地域」「多雪地域」に限り、上記の要件を満たすことでZEHの補助金対象になります。

ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)

ZEH住宅を建てたくても、都市部の狭小地ではそもそも再生エネルギー住宅の導入が難しい場合もあります。

そのような立地に新築戸建てを建築する場合には、ZEH Orientedの基準の満たすことで補助金の対象となります。

【ZEH Orientedの定義】

・「断熱」と「省エネ」による省エネルギー率が20%以上

・再生エネルギーシステムは導入しなくても良い

ZEH Orientedは一部の都市部のみが対象となります。北側斜線制限がある用途地域(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域)で敷地面積が85㎡未満の土地に、2階建て以上の新築戸建てを建築する場合に限るとされています。

ZEH +(ゼッチプラス)

ZEH +は、ZEHの基準をさらに高めたもので、以下のように定義されています。

【ZEH +の定義】

・「断熱」と「省エネ」による省エネルギー率が25%以上

・「創エネ」を含んだ省エネ率が100%以上

さらに以下の①②③のうちから2項目以上をクリア

①外皮性能のさらなる強化(外皮平均熱貫流率0.3~0.5[W/㎡K])

②HEMS(家庭用エネルギー管理システム)で住宅内の冷暖房、給湯システムを制御可能にする

③電気自動車への充電設備を設置し、電気自動車でさらなる省エネ措置

これらの要件を満たした住宅が「ZEH +」ということになり、国が定めた補助金を受けることができます。

なお、ZEHと同様に、創エネが難しい「寒冷地」「低日射地域」「多雪地域」には、Nearly ZEH +という制度が用意されています。

【Nearly ZEH +の定義】

・「断熱」と「省エネ」による省エネルギー率が25%以上

・「創エネ」を含んだ省エネ率が75%以上

さらに以下の①②③のうちから2項目以上をクリア

①外皮性能のさらなる強化(外皮平均熱貫流率0.3~0.5[W/㎡K])

②HEMS(家庭用エネルギー管理システム)で住宅内の冷暖房、給湯システムを制御可能にする

③電気自動車への充電設備を設置し、電気自動車でさらなる省エネ措置

「寒冷地」「低日射地域」「多雪地域」に限り、上記の要件を満たすことでZEH +の補助金対象になります。

ZEH住宅に関する補助金(2021年度)

ZEH住宅に関する補助金

ZEHは国が推進している事業であるため、ZEH住宅を取得した人は国から補助金を受け取ることができます。ZEHに関する補助金には「ZEH」「ZEH +」「次世代ZEH +」の3種類があり、それぞれの特徴は以下のようになっています。

ZEH ZEH + 次世代ZEH+
補助額 定額60万円/戸 定額105万円/戸
主な要件 省エネルギー率20%以上 省エネルギー率25%以上
以下のうち2つ以上をクリア

・外皮性能のさらなる強化(外皮平均熱貫流率0.3~0.5[W/㎡K])
・HEMS(家庭用エネルギー管理システム)で住宅内の冷暖房、給湯システムを制御可能にする
・電気自動車への充電設備を設置し、電気自動車でさらなる省エネ措置

以下のうち1つ以上を導入

・蓄電システム
・燃料電池
・V2H充電設備
・太陽熱利用温水システム

追加補助金 [蓄電システム] 2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は 20万円のいずれか低い額
(注:②ZEH+については、④先進的再エネ熱等導入支援事業の併願で補助が可能)
[燃料電池(エネファーム等)]2万円/台
[V2H充電設備※1] 補助対象経費の1/2又は 75万円のいずれか低い額
[太陽熱利用温水システム] 液体式:17万円/戸
空気式:60万円/戸

さらにZEHに関連する補助金として、先進的再エネ熱等導入支援事業という補助金制度が用意されています。以下のいずれかを導入した場合に補助金が交付されます。

先進的再エネ熱等支援事業
補助額 CLT 定額90万円/戸
地中熱ヒートポンプシステム 定額90万円/戸
PVTシステム 65万円~90万円/戸
液体集熱式太陽熱利用システム 12万円/戸もしくは15万円/戸
蓄電システム 2万円/kWh(補助対象経費の1/3もしくは20万円の低い方)
主な要件 「ZEH」「ZEH +」「次世代ZEH」いずれかの交付決定を受けていること

データ参照元:住宅の補助金・減税・優遇制度オールガイド

補助金の内容は毎年変わるため、最新の情報をしっかり確認しておくようにしましょう。

今後はAll Time Real ZEHに注目

今回の記事はZEHについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

最後に、ZEHの注意点をお伝えしておきたいと思います。

ZEHの計算する上では、住宅設備のエネルギー消費量のみで計算されるため、家電の使用分を含めて計算すると「ゼロエネルギー住宅ではなくなってしまう」という点です。

「それでは実質的にはゼロエネルギーではない」ということで、最近ではAll Time Real ZEHという考えが広まってきています。

All Time Real ZEHとは、家電で使った電気代も計算に含めたうえで、一年中エネルギーを完全自給できる住宅を目指すというものです。

太陽光発電システムの発電量の少ない冬場、雨天が続く梅雨の時期でも完全自給できるように、蓄電システムやヒートポンプを用いて、エネルギーの完全自給を実現します。

ちなみに当社では、エネルギー完全自給住宅を実現させるOMソーラー株式会社の「OMX」の取り扱いをしています。

OMXについて
太陽熱と廃棄熱を利用して、365日快適な住環境をつくる「OMソーラー OMX」

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自動車でも2030年半ばまでに電気自動車に移行すると言われているように、住宅においてもそれらの流れは着実に進んでいます。

これまでは太陽光発電システムを入れているだけで省エネ住宅と言われていましたが、今後は高気密・高断熱を兼ね備え、ガス事業者・電気事業者のエネルギーに頼らない「エネルギー完全自給住宅(All Time Real ZEH」の住宅がさらに増えていくことでしょう。

 

当社は、従来のZEH、ZEH +に対応した住宅はもちろん、All Time Real ZEH住宅のご相談も承りますので、ご関心のある方はお気軽にご相談ください。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。