住宅性能評価書を取得するメリットとは?評価項目や費用相場、等級についてわかりやすく解説

2022年1月17日

耐震等級3(最高等級)は必要?住宅性能表示制度で評価される10分野の項目を解説

マイホームを購入もしくは建てようとするときに「耐震等級3」や「住宅性能評価」といった言葉を耳にします。

それらは住宅性能表示制度のことを指しています。住宅性能表示制度がどのようなもので、どんなメリットがあるか気になっている人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、住宅性能表示制度の基本をはじめ、どのような項目を評価するのかといった点について紹介します。

住宅性能評価書を取得することで、住宅性能が上がるだけでなく税金面での優遇もあります。これからマイホームのご購入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

住宅性能評価書とは

住宅性能評価書とは、住宅性能表示制度に基づいて第三機関による評価を行ったことを証明する書類のことをいいます。

この記事を読んでいる方の中には、「住宅性能表示制度ってなに?」という方も多いと思いますので、まずは住宅表示制度がどういったものなのかについて解説していきます。

住宅性能表示制度の概要

住宅性能表示制度とは、平成12年4月1日に施工された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」)に基づく制度のことです。

品確法は以下の3つのことを中心に構成されています。

品確法の3本柱

  • 新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」すること
  • トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること
  • さまざまな住宅の性能を分かりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること

上記の三番目に掲げられた「住宅性能表示制度」は、マンションや一戸建て住宅といった建物の品質について、第三者の専門家(住宅性能評価機関)が一定の基準に基づいて評価を行い、建物を購入しようとしている消費者に安心を提供するために設けられた制度で、一般消費者でも分かりやすいよう、「等級1・等級2・等級3」のような等級で表示されます。

住宅性能表示制度を制定することで、「住宅性能の比較を容易にする」「第三者が評価することで信頼性を確保する」「住宅性能を高める」といった狙いがあります。

ちなみに、新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を10年間設けることは「住宅提供業者の義務」ですが、住宅性能評価書を取得することは義務ではありません。住宅性能評価書を取得するためには相応の費用が必要になるため、取得するかどうかは業者の判断に委ねられているのが現状です。

住宅性能評価書取得の流れ

住宅性能評価書には、建物の設計を評価する「設計住宅性能評価書」と、建物の工事完了後の状態を評価する「建設住宅性能評価書」の2種類があります。

新築住宅の場合は、設計段階・建設時・完成時の各場面で評価が行なわれます。なお、建設時の現場検査は原則4回行なわれるのが一般的です。

引用元:SUUMO

上図が住宅性能評価書を取得する流れになります。建設時の検査には施主が立ち会うこともできますが、専門的な検査で現場に立ち会っても何をしているかあまり分からないと思いますので、特段立ち会う必要はありません。

又、建設住宅性能評価書は取得せず、設計住宅性能評価書だけを取得する場合は着工後の検査は行われません。その場合、後述する「指定住宅紛争処理機関」の利用はできなくなりますので注意しましょう。

住宅性能評価書取得にかかる費用の相場

住宅性能評価書の申請には、設計住宅性能評価書のみを取得する場合は10万円ほど、建設住宅性能評価書も取得する場合は20万円ほど必要になります。

この申請費用とは別に、評価を受ける項目や求める等級によって別途追加工事の費用が必要です。追加工事費用はハウスメーカーや工務店によって大きく異なるため、事前に見積もりを出してもらうようにしましょう。

住宅性能表示制度で評価する項目

「住宅性能表示制度では具体的にどのようなことを調べるの?」という点について、疑問に思っている人も多いでしょう。

住宅性能表示制度では、新築住宅と中古住宅によって評価項目が異なりますので、それぞれの評価項目について解説いたします。

新築住宅の住宅性能評価項目

新築住宅の場合は10分野に分けられており、下記の表のようになっています。なお、10分野のうち4つが必須分野で、それら以外の分野は依頼人が任意に選択できます。

それぞれの基準に合致させるためには工事費用も多くかかりますし、評価分野によっては相反するものもあるため、依頼人が重視する分野に応じて自由に選択ができるようになっています。(採光性を上げるために窓を大きくすると、耐震性の確保が難しくなるなど。)

必須項目 任意項目
構造の安定(耐震性) 地震や風、積雪などに対する建物の強度を評価します。耐震性については、等級1で建築基準法の基準をクリア、等級3においては建築基準法上の基準の1.5倍の強度となります。
火災時の安心 火災時の安全を確保するために、火災時の早期発見のしやすさ、外部からの延焼や内部火災に、建物がどれくらいの時間耐えうるかを7項目で評価します。
劣化の軽減(耐久性) 柱や土台などの構造躯体に使われる材料などに、劣化進行を遅らせるための対策がどの程度されているかを評価し、等級1~3で表示します。等級1が建築基準法の基準をクリア、等級3においてはおおむね70年~90年まで構造躯体が耐えうると想定されます。
維持管理・更新への配慮 水道管や配水管、ガス管などの点検・清掃・修繕のしやすさを評価します。具体的には、床下点検口の設置の有無などを評価し、等級1~3で表示されます。
温熱環境・エネルギー消費量(省エネ性) 建物の外皮面(外壁や窓)の断熱性を等級1~4で表示、エネルギー消費量性能を評価し、省エネ性を等級1~5で表示します。
空気環境 室内への有害物質の発散量や換気対策を評価し、等級1~3で表示します。化学物質の濃度を測定して表示することも可能です。
光・視環境 室内の広さに対する窓の大きさから割合を算出し、室内の明るさを評価します。
音環境 窓やドアなどの開口部の遮音性能を評価します。共同住宅の場合は床や壁など、上下や隣接する部屋への音の伝わりにくさを評価します。
高齢者への配慮(バリアフリー性) 高齢者の生活のしやすさをみるために、住宅のバリアフリーの程度を評価します。
防犯 建物内部への不法侵入がしにくいよう、開口部に防犯対策がされているかを評価します。

これら10分野を、まずは設計図書を元に評価を行ない、建設完了時に設計図書通りに実施されているかを評価することになります。

中古住宅は現況検査が必須

次は中古住宅の評価項目をご紹介いたします。中古住宅の場合も、住宅性能表示制度に基づいて評価を行なうことで「現況検査・評価書(既存住宅性能評価書)」の交付を受けることができます。

住宅の劣化状況や不具合の有無を確認できるため、リフォームや修繕の必要箇所を見つけるのに役立ちます。中古住宅の場合は現況検査のみが必須項目で、その他の項目はオプション扱いとなります。

必須項目 任意項目
現況検査 ・基礎のうち屋外に面する部分 ・壁、柱、基礎および梁のうち屋外に面する部分 ・屋根 ・壁、柱および梁のうち屋内に面する部分 ・屋内の床 ・天井および軒裏 ・階段 ・バルコニー ・屋外に面する開口部 ・雨どい ・土台および床組 ・小屋組 ・給水設備 ・排水設備 ・給湯設備 ・機械換気設備 ・換気設備 など
特定現況検査 現況検査によって腐朽や白蟻被害、雨漏りなどが発見された場合に、原因箇所を特定する検査のことです。
個別性能評価 新築住宅の性能評価のうち、「劣化の軽減(耐久性)」・「維持管理、更新への配慮」・「音環境(遮音性)」を除いた7分野について調査を行ないます。新築戸建て同様、評価する分野は依頼人が任意で選ぶことができます。

このような項目を住宅性能表示制度が定める基準に基づいて評価を行ない、それぞれの等級を表示していきます。検査内容についてもっと詳しく知りたい方は、国土交通省のホームページに記載されているのでそちらをご参考ください。

住宅性能評価書を取得すると何か良いことはあるの?

住宅性能評価書を取得するには、基準をクリアするための工事費用や申請費用などが必要になりますが、評価書の交付割合は増え続けています。

2019年度の新築着工戸数が88万3687戸に対し、設計住宅性能評価書の交付は24万5156戸と、新築着工数の約27.7%が設計住宅性能評価書の交付を受けていることになります。

住宅性能表示制度が運用された2001年の5.3%と比べると確実に増え続けているわけですが、その理由は住宅性能評価書を取得することによって受けられるメリットの多さにあります。

ここからは、住宅性能評価書を取得するメリットについて見ていきましょう。

住宅性能評価書を取得するメリット

性能の高い住宅を購入できる

住宅性能評価書を取得するためには、評価を受ける分野において、住宅性能表示制度が定めた一定の基準をクリアしなければいけません。建築基準法で定められている基準よりも高い性能が求められるため、耐震性や断熱性などに優れた住宅を購入できます。

住宅性能評価書の取得を検討する際、どうしてもコストパフォーマンスに目が行きがちですが、住宅性能は購入後に変えることは困難なケースが多いため、自分が重視したい性能にこだわった住宅を購入できるのは大きなメリットだといえるでしょう。

第三者の中立公正な評価がもらえる

多くのハウスメーカーや工務店は、耐震性や断熱性に対して独自の技術を採用していますが、どのハウスメーカーが優れているのかを判断するのは、初めてマイホームを購入する人にとっては難しいでしょう。

住宅性能表示制度は国に登録された中立公正な第三者機関が評価を行ない、全国共通の基準である等級制度によって評価がされるため、信頼性の高い評価を受けることができます。

住宅ローンや地震保険料が優遇される

住宅ローンに「フラット35」を利用する場合、当初一定期間の金利が引き下げられる「フラット35S」が適用されます。フラット35Sとは、省エネルギー性や耐震性など、評価を受けている項目によって当初10年間もしくは5年間金利が引き下げられる制度です。

フラット35Sについては別の記事で紹介していますので、そちらの記事をご参照ください。

フラット35
固定金利住宅ローン「フラット35」の種類と特徴とは?メリット・デメリットを解説
固定金利住宅ローン「フラット35」の種類と特徴!メリット・デメリットとは?

続きを見る

また、地震保険料についても、耐震等級に応じて10%~50%の割引が適用されます。

贈与税の非課税枠が拡大される

マイホームを購入する際に親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、省エネ性・耐震性・バリアフリー性に優れた住宅を購入した場合は贈与税の税制優遇を受けられます。

新築住宅、中古住宅ともに住宅性能評価書によって贈与税非課税措置の対象家屋であることを証明することで、非課税限度額を500万円(2022年1月時点)まで加算することができます。

トラブル時の紛争処理機関を安く利用できる

設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の両方を取得した住宅については、万が一ハウスメーカーや工務店とトラブルになった際に、建築士や弁護士による電話や対面での相談を無料で受けることができます。

また、指定住宅紛争処理機関(全国弁護士会)に対し、評価書の内容・請負契約・売買契約に関する当事者間の紛争処理を一件あたり1万円で依頼できます。

住宅性能評価書を取得するデメリット

住宅性能評価書を取得するデメリットとして考えられるのは、やはり費用的な点が挙げられるでしょう。住宅の性能を上げるためには相応の費用が必要になりますし、申請するための手数料などが必要になります。

住宅性能を上げるために住宅費用が高くなるのは当然のことなので、デメリットとはいえないかもしれませんが、「住宅性能よりもコストが重要」と考えている方にとってはデメリットといえるかもしれません。

住宅性能とコスト面のどちらに重きを置いているかをしっかり考えた上で、住宅性能評価書を取得するかどうかを検討した方が良いでしょう。

まとめ

本記事では、住宅性能表示制度について解説いたしました。住宅性能表示制度は、第三者機関の評価による安心を得られるだけでなく、税金面や住宅ローン金利などの優遇も受けられる優れた制度です。

住宅性能評価書を取得するためには、設計段階での申請が必要になりますので、住宅性能評価書の取得を検討している人はハウスメーカーや工務店に早めに相談するようにしましょう。