空き家が増加する原因と対策とは!?統計グラフの推移から空き家問題の今後を予測する

2021年6月25日

空き家が増加する原因と対策とは!?統計グラフの推移から空き家問題の今後を予測する

最近は「空き家の増加が社会問題になっている!」というニュースなどをよく見かけるようになり、空き家増加に関心を持っている人も多いと思います。

一時期は家族の声で賑わっていた住宅が、今は忘れられたかのように放置されている空き家を見かけることも増えてきました。

旅行や出張で地方に出かけたときだけでなく、最近では比較的都心の方でもそのような空き家を見かけることが多くなってきたように感じます。

実際には空き家はどのくらい増加し、空き家が増加することでどのような問題が発生するのでしょうか?

本記事では、社会的に問題になっている空き家の増加について書いていきたいと思います。

どのくらい空き家が増加しているのか?

どのくらい空き家が増加しているのか?

総務省統計局が昭和38年から5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」により、全国の空き家の数を調べることができます。

直近のデータでは、「平成30年 住宅・土地統計調査」が最新データとなっているため、その統計データを元にどのくらい空き家が増えているのか見ていきましょう。

平成25年からの5年間で26万戸(3.2%)増加

土地統計調査のデータによると、全国で確認されている空き家の数は846万戸(全体の13.6%)となっています。平成25年の空き家の数が820万戸だったのと比べると、5年間で空き家が26万戸(3.2%)増加したことになります。

平成25年以前は毎回50万戸以上増え続けていたので、空き家の増加に少し歯止めがかかったようにも見受けられます。最近は新型コロナウイルスの影響で景気が後退してしまいましたが、これまでの好景気で”空き家を売却する人が増えた”というのも関係があるのかもしれません。

空き家率が一番高いのは「山梨県」

土地統計調査では”都道府県別の空き家率”を公開しており、そのデータによると空き家率が一番高いのは山梨県の21.3%となっています。

次いで和歌山県が20.3%、長野県が19.5%、徳島県が19.4%、高知県及び鹿児島県が18.9%となっており、甲信・四国地方で空き家率が高いのが分かります。

47都道府県の空き家率は以下のようになります。

空き家率ランキング【平成30年】

1位  山梨県   21.3%

2位  和歌山県  20.3%

3位  長野県   19.5%

4位  徳島県   19.4%

5位  高知県   18.9%

6位  鹿児島県  18.9%

7位  愛媛県   18.1%

8位  香川県   18.0%

9位  山口県   17.6%

10位 栃木県   17.4%

11位 大分県   16.7%

12位 群馬県   16.6%

13位 静岡県   16.4%

14位 岩手県   16.1%

15位 岐阜県   15.6%

16位 岡山県   15.5%

17位 宮崎県   15.3%

18位 鳥取県   15.3%

19位 島根県   15.2%

20位 三重県   15.2%

21位 大阪府   15.2%

22位 広島県   15.1%

23位 長崎県   15.1%

24位 青森県   14.8%

25位 茨城県   14.7%

26位 新潟県   14.7%

27位 石川県   14.5%

28位 佐賀県   14.3%

29位 福島県   14.3%

30位 奈良県   13.9%

31位 福井県   13.8%

32位 熊本県   13.6%

33位 秋田県   13.5%

34位 北海道   13.4%

35位 兵庫県   13.4%

36位 富山県   13.2%

37位 滋賀県   13.0%

38位 京都府   12.8%

39位 福岡県   12.7%

40位 千葉県   12.6%

41位 山形県   12.0%

42位 宮城県   11.9%

43位 愛知県   11.2%

44位 神奈川県  10.7%

45位 東京都   10.6%

46位 沖縄県   10.2%

47位 埼玉県   10.2%

こちらの数値には、二次的住宅(別荘など)の空き家も含まれているため、実質的な空き家数はもう少し少ない数値になりますが、全体的に見ると地方の空き家率が高くなっています。

都市圏では大阪府の空き家率が15.2%と最も高くなっており、東京都の10.6%と比べて高い空き家率であることが分かります。

空き家数が一番多いのは「東京都」

次に、それぞれの都道府県でどのくらいの空き家があるのか見ていきましょう。

空き家率ランキングでは45位と下位にランクインしていた東京都ですが、空き家の数では809,000戸で堂々の1位にランクインされています。

空き家の数ランキング【平成30年】

1位 東京都  809,000

2位 大阪府  709,000

3位 神奈川県 483,000

4位 愛知県  391,000

5位 千葉県  381,000

6位 北海道  378,000

7位 兵庫県  360,000

8位 埼玉県  346,000

9位 福岡県  327,000

10位 静岡県  281,000

11位 広島県  216,000

12位 長野県  197,000

13位 茨城県  196,000

14位 京都府  172,000

15位 鹿児島県 166,000

16位 栃木県  161,000

17位 群馬県  157,000

18位 新潟県  146,000

19位 岡山県  142,000

20位 岐阜県  140,000

21位 愛媛県  130,000

21位 三重県  130,000

21位 宮城県  130,000

24位 山口県  127,000

25位 福島県  123,000

26位 熊本県  110,000

27位 長崎県  100,000

28位 和歌山県 98,000

29位 大分県  97,000

30位 岩手県  93,000

31位 山梨県  90,000

32位 青森県  88,000

32位 香川県  88,000

34位 奈良県  86,000

35位 宮崎県  84,000

36位 滋賀県  81,000

37位 石川県  78,000

38位 高知県  74,000

38位 徳島県  74,000

40位 沖縄県  67,000

41位 秋田県  60,000

42位 富山県  60,000

43位 山形県  54,000

44位 佐賀県  50,000

45位 島根県  48,000

46位 福井県  45,000

47位 鳥取県  39,000

空き家の数では、都市部に行くほど上位にランクインされています。

空き家の増加は地方の問題というイメージが強いですが、都市部でも空き家が増加が問題になっていることが分かると思います。

用途別では「賃貸住宅」の空き家が一番多い

次は、空き家の用途別のランキングを見ていきましょう。

用途には、アパートなどの「賃貸用住宅」、販売中の物件などの「売却用住宅」、別荘などの「二次的住宅」、未使用の持ち家などの「その他の住宅」の4種類に分けられます。

空き家が全国846万戸ある中で、それぞれの内訳は以下のようになっています。

空き家の用途別割合【平成30年】

1位 賃貸用住宅   431万戸(50.9%)
2位 その他の住宅  347万戸(41.1%)
3位 二次的住宅   38万戸 (4.5%)
4位 売却用住宅   29万戸 (3.5%)

平成25年と比較すると、賃貸用住宅(0.4%増)、その他の住宅(9.1%増)、二次的住宅(7.3%増)、売却用住宅(4.5%増)となっており、全ての用途で増加しています。

特に「その他の住宅」の増加率が高いことから、誰も住んでいない持ち家が多くなっていることが推測できます。

建て方別では「共同住宅」の空き家が一番多い

最後に、空き家の建て方別のランキングを見ていきましょう。

建て方別は、マンションやアパートなどの「共同住宅」、「長屋住宅」、「一戸建て住宅」の3つに分けられています。

それぞれの戸数と割合は以下のようになっています。

空き家の建て方別割合【平成30年】

1位 共同住宅    475万戸(56.2%)
2位 一戸建て住宅  317万戸(37.5%)
3位 長屋住宅     50万戸(5.9%)

上記のデータより戸数の多い建て方に比例して、空き家の数も多くなることが分かります。

空き家が増加する原因とは?

空き家が増加する原因とは?

ここまで空き家数の現状について紹介してきましたが、おおよその内容はご理解いただけたでしょうか?

空き家の数は昭和38年以降一貫して増加を続いていますが、それにはどのような原因が考えられるのでしょうか?

空き家が増え続ける原因としては、主に3つの原因が考えられます。順に解説していきます。

少子高齢化と核家族化

空き家が発生する最も大きな原因は、住宅を所有する高齢者が老人ホームや介護施設などに転居することが挙げられます。

今の日本は過去に例を見ないほどの速度で高齢化が進んでおり、総務省統計局のデータによると65歳以上の高齢者が3588万人となり総人口の28.4%を占めています。

2013年にWHO(世界保健機関)が公開している中央年齢ランキングでは、日本全体の中央年齢は45.9歳で世界183か国中1位という結果になっています。(データ参照元:http://top10.sakura.ne.jp/WHO-WHS9-88.html

又、親世帯と子世帯が別々に暮らす”核家族”が増加していることも、空き家が増える原因になっていると考えられます。

都市部への人口集中

全国の空き家率ランキングでは都市部より地方部の方が空き家率が高くなっていることから、都市部への人口集中が地方部の空き家数を増やす原因になっていると考えられます。

地方に住んでいる両親が高齢になることで、都市部に住んでいる子供世帯と同居するという話を聞くこともあるのではないでしょうか?

最近はテレワークやオンライン会議の普及により、地方に転居する人が増えているとも言われていますが、まだまだ都市部に人口が集中しています。

地方に不動産を所有していても「売る事も貸す事もできない」という人が多く、その結果空き家のまま放置されている住宅が増えていると推測できます。

人口減少へのリスク管理

日本は少子高齢化により、将来は人口が大きく減少してしまうという大きな問題を抱えています。

平成27年版の厚生労働白書によると、日本の人口は19世紀半ば以降急増しており、明治維新時(1868年)は3000万人くらいだったのが2008年にはピークの1憶2808万人に達しました。

しかしそれ以降は減少局面に入っており、2060年には8000万人台まで人口が減少するとされています。

人口が減少することで住宅や土地に対する需要も低下すると考えられるため、空室が多い賃貸住宅もそのまま放置されたり、空き家を壊して駐車場に転用する人も少なくなっていると考えられます。

空き家の増加を防ぐための対策とは?

空き家の増加を防ぐための対策とは?

空き家の増加は国でも問題視されているため、あらゆる対策が議論されています。

その中で、現在されている大きな対策としては「空き家対策特別措置法」と「空き家バンク」の2つが挙げられます。

どのような対策なのか、順に解説していきます。

空き家対策特別措置法

空き家の増加に歯止めをかけるために、政府が2015年5月に「空き家対策特別措置法」という法律を新たに施行しました。

空き家対策特別措置法の大きな特徴は、「危険な空き家の解体や修繕を空き家所有者に命令できる」といった点にあります。

経年劣化で傷んだ空き家が強風などで周辺住民に危害を加えることも考えられるため、そのような空き家の所有者には行政が解体や修繕を勧告し、その勧告に一定期間従わなかった場合には強制的に空き家が解体され、その解体費用も空き家所有者に請求されるようになります。

又、危険な空き家と認められた場合には、これまでは空き家が経っていたことで受けられていた固定資産税等の優遇措置も受けられなくなります。

空き家バンク

空き家バンクは、地方公共団体が主体で運営しているマッチングサービスのことで、2018年4月からは全国版空き家・空き地バンクの運用も開始しています。

地域住民から空き家の登録を募集し、空き家を利用したい人と利用してほしい人をつないでくれる便利なサービスです。

登録料や利用料や無料で利用できるため、空き家の再利用や地域への移住定住を促進させる効果が期待されています。

空き家が増えるとどんな問題が起こる?

空き家が増えるとどんな問題が起こる

空き家が増えることによって、どのような問題やリスクを抱えることになるのでしょうか?

空き家問題には様々なリスクが考えられますが、大きくは以下の3つが挙げられると思います。

倒壊や火災などの危険リスク

空き家をメンテナンスもしないまま放置しておくと、建物は経年劣化でどんどん傷んでいってしまいます。

経年劣化により建物の主要構造部分(柱や梁など)が傷んでしまうことで、建物が倒壊するリスクが高くなり、万が一の場合に死傷者を出してしまうリスクを抱えることになります。

又、空き家は放火の対象になりやすいという性質も持っています。

消防庁が公表している令和元年度の火災統計によると、全国の総出火件数の37,683件のうち、放火及び放火の疑いによる出火件数は4,567件(12.1%)となっており、出火原因の1位にランクインしています。(参照元データ:総務省消防庁HP

空き家が増加することによって、放火による火災増加のリスクを抱えることになります。

景観への悪影響

空き家が増えると、景観や衛生環境が悪化してしまう可能性が高くなります。

倒壊したり経年劣化で腐食した建物は、シロアリなどの害虫を呼び寄せるため周辺の建物にも大きな被害を与える恐れがあります。

空き家が増え、周辺の景観が悪化することによって、様々な弊害を発生させることになります。

景観悪化による弊害

  • 周辺の土地や住宅の価値が下がる
  • 観光地としての価値が下がり、経済的ダメージを受ける
  • 地域ブランドが低下し、さらに空き家が増加する

このように、空き家増加によって景観が悪化することは、その地域に深刻なダメージを与える可能性があります。

治安悪化の問題

空き家が増加することによって治安悪化を招き、犯罪を誘発するリスクが高くなると言われています。

以下のグラフは、東京都23区の空き家率と犯罪率の相関関係を表したグラフです。

(参照元:データえっせい

このグラフから、空き家の数と犯罪率が比例していることが分かります。

空き家を不法占拠し薬物栽培を行なったり、薬物の取引に使われたという実例があることから、空き家と犯罪の関係性は少なからずあるように思います。

まとめ

本記事では、空き家問題について解説してきました。これから人口が大幅に減少していくと言われている日本にとって、空き家問題はとても深刻な社会問題です。

又、人口が減少していくと言われているにも関わらず、日本の総住宅数は増加の一途をたどっています。

参照元:平成30年住宅・土地統計調査

人口が減っているにも関わらず住宅数が増えていってしまうと、日本全体の空き家数はさらに増えてしまうでしょう。

空き家の増加にストップをかけるためには、人口減少の問題だけでなく、不動産業界の今後のビジネススタイルを見直す必要があるのかもしれませんね。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。