耐震等級3はいらない?メリット・デメリットを知って後悔しない家づくりを実現しよう

2022年5月14日

耐震等級3はいらない?メリット・デメリット、費用相場をご紹介!後悔しない家づくり

日本列島の真下には北米プレート・太平洋プレート・フィリピン海プレート・ユーラシアプレートの4つのプレートが集まっているため、世界の国々と比べて地震の発生頻繁が高く「地震大国」と呼ばれています。

そのため、これからマイホームの購入を検討している人の中には「耐震等級は最高等級を取得したい!」と考えている人も多いと思いますが、反面「本当に効果があるの?」「何かデメリットはない?」と不安になっている人も多いでしょう。

そこでこの記事では、最高等級である「耐震等級3」を取得するメリット・デメリットをにお伝えしていきます。ちなみに、住宅が完成した後でも耐震補強工事などで耐震性を上げることはできますが、工事費用がかなり高くなってしまうため、新築時にしっかり検討しておくことをおススメします。

そもそも耐震等級とはなにか?

そもそも耐震等級とはなにか?

最近ではハウスメーカーの標準仕様で耐震等級3が採用されるだけでなく、建売住宅でも耐震等級3で建てられた住宅が増えています。

地震の被害に見舞われることが多い日本において、耐震等級に関心を持つ人が増えていますが、その意味をしっかり理解している人はそれほど多くないのではないでしょうか。

耐震等級3を取得するメリット・デメリットをお伝えする前に、「耐震等級とは何か」といった基礎的な部分をお伝えしておきます。

第三者による耐震性能の評価

耐震等級とは、平成12年4月1日に施工された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって制定された住宅性能表示制度に基づく、地震に対する建物の強度を示す指標のことをいいます。

第三者の専門家(住宅性能評価機関)が一定の基準に基づいて評価を行うことで、建築の知識があまりない一般消費者でも安心して住宅の購入ができるようになります。

住宅の耐震性能によって「耐震等級1」「耐震等級2「耐震等級3」の3ランクに分けられており、その数字が大きいほど住宅の耐震性が強いことを表しています。

耐震等級1,2,3の違いとは?

耐震等級は3つのランクに分けられていますが、どのような基準で分けられているのか気になる方も多いはずです。そのため耐震等級のランクごとの違いを確認していきましょう。

耐震等級 耐震性能の目安
耐震等級1 極めて稀に発生する大地震による力に対して倒壊・崩壊しない程度
耐震等級2 「耐震等級1」の1.25倍の耐震性能
耐震等級3 「耐震等級1」の1.5倍の耐震性能

極めて稀に発生する地震という表記が曖昧ですが、ここでは数百年に1回程度の頻度で発生する大規模地震のことをいいます。「震度6強~7」の地震を想定しており、実際に起きた地震では1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災などが当てはまります。

耐震等級1は建築基準法で定められている基準と同等の強度のため、建築基準法を遵守して建てられた建物は全て耐震等級1以上の強度を持った住宅ということになります。

耐震等級2は「長期優良住宅」に認定されるための基準になっているほか、災害時の避難場所として指定される学校や病院などの公共施設は必ず耐震等級2以上の強度を持つよう定められています。

耐震等級3は、住宅性能表示制度で定められたランクの中で最も高い等級(最高等級)となっており、消防署や警察署などの災害時の復興や救護活動の拠点となる施設には耐震等級3の耐震性能が求められます。

耐震性能を上げる要素とは?

耐震性能を上げるためには、「建物の重さ」と「耐力壁の量」が大きく影響しています。瓦などのように重い屋根材を使用していると地震の揺れによって建物への荷重が強くなり、建物の倒壊リスクを上げてしまいます。

耐力壁とは、地震や風などで生じる横方向への圧力に対して抵抗する壁のことで、耐力壁が多いほど耐震性が強い住宅だといえます。(耐力壁については別の記事で詳しく解説しているので、そちらの記事をご参考ください。)

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又、耐震性能を上げるためには、耐震金物を使用したり、各住宅設備メーカーから販売されている制震設備を採用することも効果的です。最近では制震ダンパーなどのほか、制震性能に優れた基礎パッキンも販売されています。(基礎パッキンについても別の記事で詳しく解説していますので、そちらの記事をご参考ください。)

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耐震等級3を取得するメリット

耐震等級3を取得するメリット

耐震等級についてご理解いただいたところで、ここからは最高等級である「耐震等級3」を取得するメリットをご紹介していきます。耐震等級3を取得するメリットとしては、主に以下の3つが考えられます。

耐震性の高い住宅を購入できる

耐震等級3を取得する最大のメリットとしては「地震に強いお家に住める」という点が挙げられます。建築基準法同等の耐震等級1でも数百年に一度の地震でも倒壊しない程度の耐震性を持つことが定められていますが、2016年に発生した熊本地震では、現在の建築基準法で建てられた319棟のうち123棟が「倒壊・崩壊・損傷」のいずれかの被害を受けたとの統計データを国土交通省が公開しています。

冒頭でもお伝えしたとおり、日本の真下には4つのプレートが集まり、世界と比べても地震の発生頻度が高く地震大国として有名です。

日本全国では数年に1度マグニチュード6以上の地震が計測されるほか、近い将来には南海トラフ地震という巨大地震の発生も予測されているため、地震に対する備えは必須といって良いでしょう。

耐震等級3は、耐震等級1と比べて1.5倍の耐震性があり、警察署や消防署と同等レベルといわれています。木造住宅で耐震性能最高ランクの住宅に住むことができ、安心して日々を過ごすことができるのは大きなメリットだといえます。

地震保険の50%割引が適用される

マイホームを購入する際、火災保険と合わせて地震保険に加入する人がほとんどだと思いますが、耐震等級3を取得することで地震保険料の割引が適用されます。

等級 適用される割引
耐震等級1 10%割引
耐震等級2 30%割引
耐震等級3 50%割引

例えば1年間の地震保険料が35,000円で35年間保険に加入し続けた場合、耐震等級1の場合は(31,500円(10%割引)×35年=1,102,500円)ですが、耐震等級3の場合は(17,500円(50%割引)×35年=612,500)となります。

地震保険はマイホームに住み続ける限り加入すると思いますが、制度が変わらない限りは長期に渡って割引が受けられるのは大きなメリットだといえるでしょう。

フラット35Sの金利Aプランが利用できる

マイホームを購入する際、長期固定金利である「フラット35」の利用を検討する方も多いですが、耐震等級3を取得することでフラット35Sの金利Aプランが利用できるようになります。

フラット35Sの金利Aプランとは、フラット35の中では最もお得な金利プランで、0.25%の金利引き下げを10年間受けられるといったものです。(2022年5月現在)

借入金額4000万円、借入期間35年、適用金利が1.5%だった場合、

フラット35の種類 総返済額
フラット35 51,438,985円
フラット35S金利Aプラン 50,464,324円

このように、通常のフラット35と比べて、総返済額が974,661円も安くなります。耐震性能の高い住宅に住めることに加え、地震保険料の割引やフラット35の金利引き下げが適用されるのが耐震等級3を取得するメリットです。

耐震等級3を取得するデメリット

耐震等級3を取得するデメリット

耐震等級3を取得するメリットをご紹介しましたが、もちろんデメリットも存在しています。耐震等級3を取得する際のデメリットとしては主に2つが考えられます。

どのようなデメリットが存在しているのか順にご紹介いたします。

間取りの制限が厳しくなる

耐震等級3を取得するためには、一般的な住宅よりも耐力壁を多くバランス良く配置する必要があるため、「柱のない大きな空間」をつくることが難しくなります。

耐力壁を増やしたり、柱や梁を太くしたりする必要があるため、大きな吹き抜けを設けることができなかったり、窓を小さくしたり少なくしたりする必要があるため、少し室内が暗くなってしまうかもしれません。

従来であれば間取りの自由度が高い在来工法の木造住宅も、耐震等級3を取得するためには間取りの制限を厳しく受けることになってしまうという点が、耐震等級3を取得する最大のデメリットといえるでしょう。

耐震等級3の取得費用が必要になる

耐震等級3を取得するためには、申請費用や検査費用がかかるほか、耐震性能を上げるために耐力壁を増やしたり、耐震金物を設置するために建築コストが高くなってします。

申請費用・検査費用の相場は10万円~20万円程度ですが、耐震性能の上げるための建築コストは高い場合だと100万円~200万円ほどの違いが生じることもあります。

また、設計や構造計算にかかる費用も高くなってしまうため、耐震等級3を取得するのと取得しないのでは住宅購入にかかる総合コストが大きく違ってきます。注文住宅などで建築をお考えの方は、事前にハウスメーカーや工務店に確認しておくようにしましょう。

当社は耐震等級3が標準仕様

この記事では耐震等級3について解説してきましたがいかがだったでしょうか?繰り返しになりますが、日本は地震大国と言われているほど地震が多く、これまでの歴史を振り返ってみても数年~十数年に一度の頻度で大きな地震が発生しています。

地震で建物が倒壊してしまっても、地震保険は保険額の半額までしか支払われないため、ご家族の安全や経済的な安心のためにも、地震に強いお家に住むことを強くおススメいたします。

ちなみに当社の住宅は耐震等級3が標準仕様です。耐震等級3を取得するためには相応のコストがかかりますが「お客様の安全と安心を最優先」という気持ちで、耐震等級3を標準仕様としております。

当社の分譲住宅をご検討の方はもちろん、耐震性能の強い住宅を建てたいとお考えの方も、どうぞお気軽にご相談ください。