これから注文住宅でお家を建てられる人の中には、「お家の外壁の種類が多くてどれを選べば良いか分からない…」と思っている人も多いのではないでしょうか?
外壁材には多くの種類があり、それぞれ機能性やデザイン性が異なります。メンテナンス性なども違ってくるため、それぞれの特徴をしっかりと理解したうえで外壁材を選ぶことが重要です。
この記事では、戸建て住宅によく使われる代表的な5つの外壁材の特徴やメリット、デメリットについてご紹介いたします。
目次
戸建て住宅でよく使われる外壁は5種類
ひと昔前まではトタンやモルタルくらいしか選択肢のなかった外壁材ですが、最近では非常に多くの外壁材が販売されており、非常に多くの外壁材がラインナップされています。
窯業系サイディング、金属系サイディング、セラミック系サイディング、樹脂系サイディング、木質系サイディング、トタン、スタッコ、リシン、吹付けタイル、タイル、天然石材、レンガ、モルタル、ALCなど、様々な外壁材が存在していますが、この中でも特に戸建て住宅の外壁材としてよく使われているのは下記の5つです。
主要外壁材5つ
- 窯業系サイディング
- 金属系サイディング
- モルタル外壁
- ALC外壁
- タイル外壁
もちろん、人の好みによってこれら以外の外壁材が使われることもありますが、新しく建てられる建物の大半が上記の5つのいずれかの外壁材が使われています。
上記5つの外壁材は、種類によってさまざまな特徴がありますので、ここからは外壁材ごとの特徴とメリット・デメリットについて解説していきます。
それぞれの外壁材の特徴とメリット・デメリット
ご自身の考えに合った外壁材を選ぶためには、それら外壁材の特徴を知ることが重要です。
戸建て住宅に利用される主要外壁材の特徴とメリット・デメリットを知り、理想の外壁材を選択するようにしましょう。
窯業系サイディングの特徴、メリット・デメリット
窯業(ようぎょう)系サイディングはセメントに繊維質を混ぜ合わせて板状に形成した外壁材のことをいいます。
最近の建売住宅のほとんどで窯業系サイディングが使われており、安価なわりに機能性やデザイン性に優れているのが特徴です。色やデザインのバリエーションが豊富なため様々なニーズに対応することができます。
モルタルのように現場でイチから施工する素材と違い、サイディング自体は向上で生産されるため品質が安定していますが、少々劣化しやすくこまめなメンテナンスが必要になるという特徴があります。
素材自体に防水機能はほとんどないため、塗膜が剥がれてしまうことによって浸水しやすくなってしまいます。また、タイル調やレンガ調の窯業系サイディングなどもありますが、質感ではどうしても本物よりも劣ります。
メリット | デメリット |
|
|
金属系サイディングの特徴、メリット・デメリット
金属系サイディングは、表面材である金属板に断熱効果のある裏打材を貼り合わせて作られた外壁材のことをいいます。表面材に使われる金属板にはガルバリウム鋼板やステンレス鋼板などが使われています。
工場生産のため品質が安定しているほか、断熱性に優れており、窯業系サイディングと比べて室内温度が安定しやすくなります。又、軽量で強度が強いためひび割れがしにくく地震時の住宅への負担を軽減することができます。
しかし、金属製の外壁材なので酸化がしやすく、水が当たることによって錆びやすいため、定期的なメンテナンスが必要となります。又、窯業系サイディングと比べてデザインのバリエーションが限られているほか、物が当たることによって傷や凹みができやすいという特徴があります。
メリット | デメリット |
|
|
モルタル外壁の特徴、メリット・デメリット
モルタル外壁は水とセメントと砂を混ぜ合わせた素材で形成された外壁で、ひと昔前までは日本の外壁に使われる素材の主流として多く使用されていました。
近年では窯業系サイディングが外壁材の主流となり、モルタルを採用する住宅は少なくなっていますが、モルタルならではの特徴もあるため、まだまだモルタルを用いて建てられる住宅も多く存在しています。
モルタルは職人の手作業で仕上げられるため、意匠性に優れ味わい深い仕上がりになるとともに、サイディングのように外壁同士の継ぎ目がなくコーキングの補修が不要といった特徴があります。
又、金属製の外壁材と比べて壁表面が熱くなりにくいといったメリットがある反面、ひび割れが起きやすく汚れが溜まりやすいのがデメリットです。職人の手作業によって施工されるため工期も長くなりがちです。
メリット | デメリット |
|
|
ALC外壁の特徴、メリット・デメリット
ALCは(Autodaved Lightweightaerated Concrete)の頭文字をとった略語で、高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリートのことをいいます。ALCの主成分は珪石・セメント・生石炭・発泡剤です。
高温で発砲加工することで内部に気泡が入っているため、非常に軽量なのが一番の特徴です。(一般のコンクリートの約1/4の重量)外壁だけでなく屋根や床、間仕切り材としても使われており、様々な建物の構造材に用いられています。
ALC外壁は耐久性が高い上に軽量なため、地震にも強い外壁材といわれています。また内部には気泡が含まれているため熱伝導率が低く断熱性も高くなっています。又、内部の気泡が遮音性を高める防音材の効果も果たしており、遮音性が高く騒音を住宅内に伝えにくくさせる効果もあります。
その反面、ALCパネルはサイディングより小さく設計されているため継ぎ目が多く、劣化防止のコーキング補修が必ず必要になるほか、サイディングやモルタルと比べて施工費用が高くなってしまうというデメリットがあります。
メリット | デメリット |
|
|
タイル外壁の特徴、メリット・デメリット
タイルは粘土や石などの無機質の原料を成形し、1000度以上の高温で焼き固めたものです。固く傷つきにくく、丈夫な外壁材として知られており、高級感や重厚感によって家全体を高級で美しく見せることができます。
デザインバリエーションも豊富に用意されており、さまざまな形状やサイズ、カラーのタイルを選べます。耐久性が非常に高くメンテナンスに手間やお金がかからないといったメリットがありますが、初期費用がほかの外壁材と比べて高く、タイルが剥離して落下してしまうリスクがあります。
最近では、下地処理の方法やタイル専用の接着剤の性能が高くなっているため剥離の心配はほとんどありませんが、職人の技術が低いとタイルの浮きや歪み、剥離を起こしてしまう可能性も考えられるため、工務店選びは慎重にした方が良いでしょう。
メリット | デメリット |
|
|
外壁材の選び方のポイント
5種類の外壁材の特徴やメリット・デメリットについて解説しましたがいかがだったでしょうか?
ここからは「特徴は分かったけど、どの外壁材を選べば良いか分からない…」という方に向けて、外壁材を選ぶ際のポイントについてご紹介します。
まずは自分の中で「重視するポイント」を決める
先ほどご紹介したとおり、外壁材にはさまざまな種類と特徴があります。そのため、どの外壁材にしようかを考える前に、自分が外壁材を選ぶにあたり重視したいポイントを決めることが重要です。
例えば、「好きなデザインやカラーをある」や「初期費用が安い外壁材を選びたい」といったことを明確にしていくことで、選ぶべき外壁材が絞り込みやすくなっていきます。
実際に重視するポイントを決めたら、その要望に合った外壁材はどれかを選んでいきましょう。以下に要望ごとに外壁材を選ぶ際に役立つ情報をご紹介しますので参考にしてください。
自分の好きなデザインやカラーから選ぶ
外壁材は機能性ではなく「意匠性・デザイン性」を重視して選ぶ人も多いでしょう。サイディングの種類によって質感や風合いに違いがあるため、それぞれの種類ごとにサンプル品などを見せてもらい、自分の好きな外壁材のイメージを明確にしてことが重要です。
デザインバリエーションでは窯業系サイディングが一番豊富なので、自分が求めているデザインやカラーのイメージをメーカーや工務店に伝え、イメージに合ったサイディングを探してもらうのも良い方法です。
しかし、建てる前は気に入って選んだカラーの外壁材でも、建物が完成した後に「あれっ?失敗した…」と思ってしまうケースもありますので、以下の点に注意しましょう。
外壁材色選びの注意点
- 玄関ドアや屋根の色と合っていない
- イメージしていた色と違っていた
- 汚れが目立つ色だった
これらのことを想定して、たとえば建てる前にイメージパースで色のバランスを見たり、サンプル品だけで判断せず、メーカーショールームに足を運んで実物を見るなどをして、失敗しない外壁材の色選びを実現しましょう。
汚れが目立ちにくい材質やカラーから選ぶ
新築時はピカピカで綺麗な外壁材も、経年劣化とともに汚れが付着して汚くなってしまいますが、材質やカラーによっては特に汚れが付着しやすく目立ちやすいものもあります。
一般的に、汚れが目立つ色としては「ホワイト・ブラック・赤・青」で、汚れが目立たない色としては「グレー・アイボリー・ブラウン・グリーン」と言われています。外壁材はモルタルが汚れが目立ちやすいとされています。
赤色や紫色などは紫外線を吸収しやすいとされており、色あせが起こりやすくなります。汚れが目立ちにくい外壁材を選ぶなら、モルタルは避けて、汚れが目立たない色を選ぶようにしましょう。
メンテナンス頻度が少ない外壁材から選ぶ
外壁材は常に太陽光や雨風にさらされているため、メンテナンスをせずに放置していると経年劣化によって外壁材の機能が低下し、浸水などの原因になることがあります。
そうならないよう定期的にメンテナンスを行う必要がありますが、外壁塗装工事も決して安い工事ではなく100万円以上の費用がかかります。そのため、「メンテナンス頻度が少ない外壁材を選びたい…」と思う人も多いのではないでしょうか?
外壁材によって求められるメンテナンス頻度は異なります。あくまで目安になりますが、それぞれの外壁材のメンテナンス頻度は以下のようになります。
外壁材の種類 | メンテナンス頻度 |
窯業系サイディング | 7年~10年 |
金属系サイディング | 10年~15年 |
モルタル外壁 | 8年~10年 |
ALC外壁 | 10年~15年 |
タイル外壁 | 基本的に不要 |
初期費用の安い外壁材から選ぶ
外壁材を選ぶ際、機能性はもちろん重要ですがそれ以上にコストも気になるところです。建てる建物の大きさによっても違いますが、選ぶ外壁材によって数十万~数百万円の差が出てしまうことも珍しいことではありません。
サイディングの中でもデザインや機能性によって価格差があるのであくまで目安になってしまいますが、それぞれの外壁材の初期費用は以下のようになります。
外壁材の種類 | 初期費用(施工費用)の目安 |
窯業系サイディング | 3,500~5,000円/㎡ |
金属系サイディング | 4,000~6,000円/㎡ |
モルタル外壁 | 2,000~4,000円/㎡ |
ALC外壁 | 7,000~15,000円/㎡ |
タイル外壁 | 8,000~13,000/㎡ |
特にこだわりのない人は、デザインバリエーションも豊富で初期費用が抑えられる窯業系サイディングがおススメです。
最後に
本記事では外壁材について解説してきましたがいかがだったでしょうか?最近は本当に多くの外壁材がラインナップされていて、外壁材を選ぶだけでも色々悩んでしまうと思います。
この記事が外壁材選びでお悩みの方のお役に立てれば光栄です。それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
ちなみに、当社では設計~施工まで自社で行える体制を整えています。土地選びについてもお客様の立場に立ってご対応いたしますので、住宅のことでお悩みがあればお気軽にご相談ください。