住宅ローン控除はいつまでに申請する?確定申告時の必要書類と申請方法を解説!!

2022年7月9日

住宅ローン控除はいつまでに申請する?確定申告時の必要書類と申請方法を解説!!

マイホームを購入する際、住宅ローンを利用する人も多いでしょう。住宅ローンを利用してマイホームを購入すると、住宅ローン控除を受けられる場合があります。

仕事をしている方は毎年「所得税」と「住民税」を支払っていると思いますが、住宅ローン控除によって税金の還付を受けられるとてもお得な制度です。

本記事では、住宅ローン控除の基本的な概要をはじめ、どうやって申請するのか?必要書類は何なのか?といった点を解説しますので、マイホームの購入を検討している方は、これから住宅ローン控除の申請をするという人はぜひ参考にしてください。

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは?

初めてマイホームを購入する人は、住宅ローン控除という言葉は知っていても、具体的にどのような制度かを知っている人はそれほど多くないでしょう。

そこでまず、住宅ローンとはどんな制度なのかについてお伝えいたします。

住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除とは、住宅ローンの返済に伴う家計の負担を軽減し、日本経済の活性化を図ることを目的に制定された制度です。住宅ローン控除の受給要件を満たせば年末時点の住宅ローン残高に応じた金額が所得税や住民税の控除を受けられます。

住宅ローン控除は頻繁に控除期間や控除率が変動します。2019年10月の消費税増税を受けて、2019年これまで控除期間が10年間だったのを13年間(※新築住宅の場合)に延長されました。控除率は2021年(令和3年)までは1.0%でしたが、2022年(令和4年)からは0.7%に引き下げられました。

2024年以降は、控除期間が10年に短縮されることが予定されています。住宅ローン控除の適用は入居した年の制度が適用されるため、実際に適用される控除期間や控除率を知りたい場合には、実際に入居する年の制度を把握するようにしましょう。

住宅ローン控除の受給要件

住宅ローン控除はマイホームを購入すれば無条件で適用される訳ではなく、受給要件を満たしておく必要があります。受給要件は以下のようなものがあります。

住宅ローンの借入期間が10年以上

住宅ローンを利用したとしても、借入期間が5年などの短期ローンの場合には住宅ローン控除は受けられません。

又、借入当初は10年以上の期間で借りていたとしても、繰上返済をするなどしてトータルの借入期間が10年未満になってしまっても、その時点で適用が受けられなくなるので注意しましょう。

購入物件に自ら居住すること

住宅ローン控除は、購入する物件に自ら居住する必要があります。そのため投資用マンションやセカンドハウス(別荘)は住宅ローン控除の適用を受けることができません。

ただし、住宅ローン名義人が転勤などで単身赴任をし、家族が住み続けている場合には住宅ローン控除の適用を受けることができます。

床面積が50㎡以上

住宅ローン控除の適用を受けるためには、購入する物件の床面積が50㎡以上の必要があります。2022年の法改正で40㎡以上でも適用を受けることができるようになりましたが、その場合には所得が1000万円以下という要件が追加されます。

なお、マンションの場合は専有部分の床面積で判断されますが、パンフレット上の面積ではなく「登記簿上の面積」であることや、階段や通路といった共用部分は含まれないので注意が必要です。

居住割合が1/2以上

自営業の場合などで店舗付き住宅を購入する場合、建物全体の床面積に対して居住スペースが1/2以上の必要があります。

所得金額が2000万円以下

合計所得金額が2000万円を超えている場合には、その年の住宅ローン控除を受けることができません。控除期間のうち2000万円以下の年は控除を受けることができます。

合計所得には、給与所得や不動産所得、譲渡所得や雑所得などが当てはまります。

住宅ローン控除はいつまでに申請する?

住宅ローン控除の適用を受けるためには、「入居した翌年の3月15日まで」に確定申告によって申請する必要があります。

マイホームを購入し受給要件を満たしていても、自動的に住宅ローン控除が適用される訳ではありません。確定申告をしないと税金の還付がされないため、必ず確定申告を行うようにしましょう。

会社員の場合には、2年目以降は確定申告をしなくても年末調整が行うことができます。毎年10月下旬頃に税務署から届く「住宅借入金等控除証明書」と金融機関から届く「残高証明書」を勤務先に提出することで住宅ローン控除の適用を受けられます。

住宅ローン控除の計算方法

住宅ローン控除は毎年の年末残高に、所定の控除率を掛けることによって算出できます。

ポイント

住宅ローン年末残高 × 控除率

毎年このように計算された金額が、定められた期間内は所得税や住民税から控除されます。

住宅ローン控除の控除率や最大控除額や入居年によって異なりますが、現時点(2022年7月)での適用内容は以下のようになっています。

【住宅ローン控除の適用内容】

控除期間 控除率 控除対象借入限度額 住民税からの控除限度額
新築住宅 13年 0.7% 3,000万円~5,000万円 9.75万円/年(前年度課税所得×5%)
中古住宅 10年 0.7% 2,000万円~3,000万円 9.75万円/年(前年度課税所得×5%)

控除対象借入限度額の金額が低いと、実際には5000万円の借入があったとしても、控除対象借入限度額を基準に住宅ローン控除を計算することになるため、控除される金額が低くなります。

控除対象借入限度額は購入する物件によって異なり、以下のようになっています。

【物件種別ごとの控除対象借入限度額】

長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 その他の住宅
新築住宅 5,000万円 4,500万円 4,000万円 3,000万円
中古住宅 3,000万円 2,000万円

それでは、上記の数値を踏まえた上で、実際に住宅ローン控除の金額をシミュレーションをしてみましょう。

住宅ローン控除額のシミュレーション

例えば、所得税を60万円納付しているAさんが、省エネ基準住宅の新築住宅を購入し、5,500万円の住宅ローンを組んだとします。この場合の計算は以下のようになります。

 

【住宅ローン控除の計算】

4,000万円(控除対象借入限度額)×0.7%(控除率)=28万円(年間控除額)

28万円(年間控除額)×13年間(控除期間)= 3,640,000円

 

上記のシミュレーションは、13年間のうちに控除される最大額となり、実際には、その年の住宅ローン年末残高が4,000万円を下回ると、住宅ローン控除額も低くなります。

又、住民税からの控除は、所得税から控除しきれない額の範囲内でのみ控除されます。Aさんの場合は所得税を60万円支払っており、所得税から全額控除できるため住民税からの控除はされない点に注意が必要です。

住宅ローン控除の必要書類と申請方法

住宅ローン控除の必要書類と申請方法

ここからは、実際に住宅ローン控除を申請する時に必要な書類や申請方法を解説していきますが、あくまで一般的な内容ですので、自身で税務署に相談するようにしましょう。

提出書類に漏れがあると住宅ローン控除の適用を受けることができないため、事前にしっかり用意をしておくことが重要です。

住宅ローン控除の必要書類

住宅ローン控除の申請は確定申告によって行います。確定申告には下記の書類が必要となります。

確定申告書

確定申告書にはAとBの2種類があります。会社員等で所得の種類が「給与所得」「公的年金等の雑所得」「配当所得」「一時所得」の場合には確定申告書Aを使用します。

個人事業者等で所得の種類が「事業所得」「不動産所得」「譲渡所得」がある場合には、確定申告書Bを使用して確定申告を行いましょう。

住宅借入金等特別控除額の計算証明書

住宅ローン控除額を計算するための書式で、税務署に備え付けられています。インターネットで入手したい場合は国税庁のホームページからもダウンロードすることができます。

売買契約書や登記事項証明書を参考にしながら、「土地面積」「建物面積」「売買価格」等の必要事項を記入して提出します。

個人事業者等で所得の種類が「事業所得」「不動産所得」「譲渡所得」がある場合には、確定申告書Bを使用して確定申告を行いましょう。

源泉徴収票(給与所得者の場合)

所得の種類「給与所得」の場合には、勤務先から発行される源泉徴収票を添付します。給与所得以外にも所得がある場合には、所得を証明できる書類をさらに添付して申請する必要があります。

マイナンバーが記載されている書類

確定申告にはマイナンバーが記載されている書類の写しが必要になります。「マイナンバーカード」または「通知カード」を用意しましょう。

通知カードのみの場合には、さらに運転免許証やパスポートのような身分証明書をセットで提出します。又、マイナンバーカードや通知カードを用意できない場合には、マイナンバーが記載された住民票でも代用可能です。いずれの書類も居住している市役所で取得できます。

土地・家屋の登記事項証明書

登記事項証明書とは、購入した不動産の大きさや構造、権利関係が記載された書類のことです。エリア管轄の法務局で取得することができるので、物件所在地管轄の法務局に申請して入手しましょう。

不動産売買契約書・工事請負契約書

土地や建物の購入時に締結した不動産売買契約書や工事請負契約書の写しを添付します。不動産の購入とリフォーム工事等を同時に行い、リフォームローンを利用した場合は、リフォーム工事の請負契約書も用意しましょう。

住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書

毎年時点での住宅ローン残高が記載された書類で、毎年住宅ローンを借り入れた金融機関から送られてきます。基本的には12月末頃に金融機関から送られてくるので、確定申告時まで保管しておきましょう。

特定要件を証明するための書類

住宅ローン控除は、「長期優良住宅」や「低炭素住宅」の購入した場合には控除対象借入限度額を引き上げることが可能ですが、それらの住宅であることを証明する書類が必要になります。

中古住宅を購入した場合には、以前は木造住宅は築年数が20年以内の物件に限られるなどの条件が定められていましたが、2022年の法改正により、建物構造に限らず、1982(昭和57)年1月1日移行に建築された住宅については、「耐震基準適合証明書」といった書類を用意しなくても住宅ローン控除を受けられるようになりました。

ただし、認定中古住宅として住宅ローン控除を受けるためには、認定中古住宅であることを証明する書類を用意しなければなりません。

住宅ローン控除の申請方法

次は住宅ローン控除の申請手続きについて解説します。住宅ローン控除の申請は税務署の窓口で以下の流れで行います。

①必要書類を集める

先ほどお伝えした必要書類を集めます。住宅ローン控除の申請に必要な書類は多く、すぐに取得できないものもあるため、書類に不備が出ないよう事前に用意をしておくことが大切です。

②税務署で確定申告書を記入・提出する

税務署で確定申告書を受け取り、住宅借入金等特別控除額の計算明細書に基づいて控除額を算出し、確定申告書に記載していきます。記載が完了したら、確定申告書と必要書類を税務署に提出します。

確定申告書の記入が初めての人にとっては少し難しく感じる部分もあるかもしれませんが、その際は税務署窓口や市区町村の相談コーナーの係員に相談しましょう。ただし、確定申告の時期は混みあっていることも多いので、少し時間がかかってしまうことも考えられます。

③還付金が振り込まれる

書類を不備なく提出することができれば、書類に記載した預貯金口座に還付金が振り込まれます。還付金が振り込まれるまでに1カ月ほど時間がかかるため、気長に待ちましょう。

※会社員は2年目以降は確定申告不要

住宅ローン控除の申請はなかなか時間と労力がかかるため、「毎年するのは大変…」と思う人も多いはずですが、会社員なら2年目以降は年末調整のみで住宅ローン控除を受けることができます。

税務署から送られてくる「住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅借入金等特別控除証明書」、金融機関から送られてくる「年末残高等証明書」を会社に提出しましょう。

年末調整を行わない個人事業主は、2年目以降も確定申告が必要ですが、初年度と比べて必要書類は少なくなり、通常の確定申告に加えて「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「年末残高証明書」で申請を行うことができます。

住宅ローン控除の申請を忘れた場合は?

住宅ローン控除の受給要件を満たしていたのに、ついつい住宅ローン控除の申請を忘れてしまうことがあります。その場合の対処法についてお伝えします。

初年度の確定申告による申請を忘れてしまった場合

実は住宅ローン控除の初年度の確定申告を忘れてしまった場合でも、5年以内に申告をすれば住宅ローン控除を受けることができます。もし確定申告による申請を忘れてしまった場合はすぐに申請手続きを行いましょう。

5年以内に確定申告をすることで、5年以内の過ぎてしまった年数分の還付を受けることができますが、住民税からの控除は、確定申告をする以前の還付は受けられません。住宅ローン控除は、所得税から控除しきれない額は控除限度額の範囲内で住民税から控除されることになっていますが、住民税からの控除は確定申告以降の分から適用になるという点に注意しましょう。

2年目以降、年末調整時の申請を忘れてしまった場合

初年度の確定申告はしていても、勤務先の年末調整で住宅ローンの申告を忘れてしまうこともあります。その場合は2つの方法によって対処が可能です。

まず一つ目は、勤務先に再度年末調整を依頼する方法です。一般的に年末調整に必要な書類は年末に提出しますが、会社が税務署に法的書類を提出する期限は1月末までなので、それまでであれば対応してくれる可能性があります。ただし、勤務先によっては二度手間になるため再度の年末調整に応じてくれないこともあります。

その場合には、自身で確定申告を行う必要があります。初年度の手続きと同様に、自ら税務署で確定申告を行うことで申告が可能です。

住宅ローン控除のことならお気軽にご相談ください

この記事では住宅ローン控除についてご紹介しました。住宅ローン控除は、毎年の所得税・住民税を控除できるお得な制度なので、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合にはぜひ活用しましょう。

中古住宅の受給要件についても、令和4年度の法改正によって、これまで設けられていた「築年数の制限」が緩和され、これまで住宅ローン控除の適用が受けられなかった物件も適用を受けられるようになりました。

初めてマイホームを購入する人にとっては、住宅ローン控除は少し複雑で分かりにくい制度ですが、ご相談いただければ当社スタッフがしっかりご説明し、還付を受けられるまでしっかりサポートさせていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。