環境問題だけでなく、昨今のエネルギー価格高騰によって省エネに関心を寄せる人が多くなっています。リーマンショックの影響で一時的にはエネルギー価格は下落したものの、長期的にはガス料金や電気料金は上昇を続けています。
最近では1998年ぶりの円安水準にある中、生活用品の価格も上昇傾向にあります。少しでも生活費を抑えるために、有効な省エネ方法を知っておきましょう。
本記事では、家庭で今すぐ実践できる省エネ方法だけでなく、最新家電の省エネ効果についてもお伝えしていますので、省エネに関心のある方はぜひ参考にしてください。
家庭で省エネに取り組む必要性
省エネの方法を知る前に、まずは何故省エネに取り組む必要があるのかを理解しておきましょう。世界中の各国が省エネに取り組んでおり、省エネの重要性が年々増してきています。
家庭で省エネに取り組むことは、生活費の節約以外にも重要な理由があるため、まずはその点について解説していきます。
省エネは地球を守ることにつながる
私たちの生活に深く関係しているエネルギーは電気とガスが挙げられますが、これらのエネルギーをつくるために、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出させてしまいます。
温室効果ガスが増加することで地表熱が放出されにくくなってしまい、地球全体の平均気温を高めてしまいます。いわゆる地球の温暖化を進めてしまうわけです。
地球温暖化は気候変動等あらゆる問題を引き起こすとされており、海や陸の生態系を破壊してしまったり、作物がきちんと育たなくなってしまったり、自然災害が増えてしまうと言われています。
世界中の人たちが省エネを徹底し、エネルギーの消費量を減らすことで、温室効果ガスの排出を抑制し、地球温暖化によって起こる数々の問題から地球を守ることにつながります。
SDGSの影響で省エネが義務化される傾向にある
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、国名加盟193カ国が掲げる2030年に向けた持続可能な開発目標のことです。持続可能な未来をつくるために、労働や貧困、教育や健康など17分野にゴールを定め、各国で目標達成に向けた取り組みを始めています。
そのSDGsの中で、環境やエネルギーに対する開発目標も定められている影響を受けて、国土交通省も今後の住宅・建築物について「省エネ対策の加速」などの観点から、省エネルギー対策と建築基準制度の見直しを進めています。
2025年度には新築建物に対して省エネ基準への適合を義務化する制度を導入する動きなどがあり、これから省エネに対する義務化が強化されていく傾向にあると考えられます。
エネルギー価格が年々上昇傾向にある
冒頭でもお伝えしたように、エネルギー価格は年々上昇しています。ウクライナ情勢などの影響で石油等の燃料費が上がるに従って、電気代・ガス代ともに上昇傾向にあります。
これまでは安い単価で電気やガスを利用できていたため、「省エネをして節約するメリットがない」と考えていた人でも、電気やガスの単価が上がることで節約効果も上がるため、メリットを感じる人も多くなることでしょう。
家庭で今すぐ実践できる省エネ方法
家庭で省エネに取り組む必要性をご理解いただいたと思いますが、具体的にはどのような省エネ方法があるのでしょうか?
実は私たちが日々の生活で利用するエネルギーは、電気が5割、都市ガスやLPガスが3割と言われているため、電気とガスの使い方を見直すことで十分な省エネ効果が得られます。
引用元:経済産業省資源エネルギー庁
「今すぐ家庭で省エネをしたいけど、何をしたら良いか分からない…」と思っている人に向けて、家庭でできる電気とガスの省エネ方法をご紹介いたします。
エアコンの設定温度を調整する
まず簡単にできる省エネとしては、エアコンの設定温度を省エネ推奨温度に設定することが挙げられます。省エネ推奨温度は、冷房時は28℃、暖房時は20℃です。
冷房時は1℃高めに、暖房時は1℃低めに設定することで、約10%の節電効果があるといわれています。
ちなみに、エアコンは寒い部屋を暖め始めるとき、暑い部屋を冷やす始めるときに多くの電力を消費するため、電源のON/OFFを繰り返すことは電気を余分に消費してしまいます。室内温度は設定温度で調整しましょう。
又、冷たい空気は部屋の下方に、暖かい空気は部屋の上方に集まるため、冷房時は風向きを水平に、暖房時は風向きを下向きにすると効率良く室内気温を調整することができます。
エコ機能が搭載されているエアコンを使用している場合は、室温と外気温から最適な運転モードを選択し、快適かつ省エネになるよう自動で空調をしてくれるので積極的に活用していきましょう。
部屋の照明をLEDに交換する
ひと昔前までは、照明といえば白熱電球や蛍光灯が多く使われていましたが、最近ではLED照明が多く使われるようになってきました。照明のLED化は効率的な省エネ対策の一つです。
LEDは、白熱電球や蛍光灯と比べて寿命が長く、消費電力を少なくて済むというメリットがあります。LEDの消費電力は、白熱電球の約20%、蛍光灯の約30%といわれており、電気代の大幅な節約が可能とされています。
寿命の点においても、白熱電球は約1000~2000時間、蛍光灯は約6000時間~12000時間に対し、LEDは約40000~60000時間と長寿命です。
従来の照明器具と比べてLEDの価格は高く設定されており、初期費用がかかってしまうというデメリットはありますが、最近では安価なLED照明も多く販売されているため、使用頻度の高いリビングなどをLEDに交換するのも効果的です。
冷蔵庫の中身を少なくする
冷蔵庫の節電といえば、冷蔵庫の買い替えを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、冷蔵庫の開閉時間や回数を減らしたり、モノを詰め込みすぎないようにすることで節電が可能です。
モノを詰め込みすぎると、冷蔵庫が中のモノを冷やすために余分な電力を消費してしまうほか、目当てのモノを探すために開閉時間が長くなったり、開閉回数が増えてしまうため、冷蔵庫には詰め込め過ぎず、7割以下に保つことが理想といわれています。
冷蔵庫を節電するためには、「冷蔵庫の開閉時間、回数を減らす」「冷蔵庫は詰め込みすぎず7割以下にする」「冷蔵庫の設定温度を季節や室温に合わせて調整する」などのほか、壁から離して設置し、冷蔵庫の周囲の温度を下げるなどが効果的です。
お風呂は間隔をあけずに入浴する
家族が入浴する時間がバラバラで、常に保温しているとお湯の温度を調整するために余分にガスや電気を消費してしまいます。なるべく間隔をあけずに入浴することで、エネルギー消費を抑えることができます。
そのほかにも、こまめにシャワーを止めて節水したり、お風呂に張るお湯の量を少なくする。誰も入浴していないときは浴槽に蓋をしてお湯の温度が下がりにくくしたり、お湯の温度を低めに調整してガス代を節約することが可能です。
天気の良い日は衣類乾燥機を使わない
最近では浴室暖房乾燥機や洗濯機に付いている衣類乾燥機能を利用して洗濯物を乾かしているご家庭も多いでしょう。梅雨の時期は洗濯物を外に干せない日が多くなって大活躍の衣類乾燥機ですが、衣類乾燥機は意外とエネルギー消費量が多いです。
衣類乾燥機の種類によって電気代はバラバラですが、ドラム式ヒーター乾燥タイプで一回あたりの電気代がおよそ50円ほどとされており、1カ月毎日使うと衣類乾燥機の電気代だけでおよそ1500円がかかる計算になります。
雨の日など天候が悪い日は衣類乾燥機を使い、天気の良い日は天日干しにするなどの工夫をすることで、エネルギー消費量を抑えることができます。
電気便座を使わないときは蓋を閉める
電気便座の蓋を開けっ放しにしていると便座が冷えてしまうため、便座を暖めるために余分な電気を消費してしまいます。電気便座にかかる電気代は年間およそ2,000円~4,000円、便座を閉めるだけで年間1,000円ほどの節電効果があるといわれています。
又、家庭内で使用する水の使用量の約30%がトイレを流す水だとされており、水を流す頻度を少なくして節水を心掛けるだけでも十分な節約効果が期待できます。
使わない家電のコンセントを抜いておく
電化製品は電源をOFFにしていても待機電力がかかります。待機電力とは、リモコンからの信号に備えて待機している際にかかる電力のことです。
資源エネルギー庁のデータによると、家庭の消費電力量における待機電力は年間228kWhで、年間6,156円とされています。
頻繁に使用する電化製品のコンセントを抜いておくのは面倒かもしれませんが、あまり使用しない電化製品のコンセントは抜くようにして、節電を心掛けましょう。
カーテンを開けて日中は照明を点けない
日中の明るい時間帯はカーテンを開けて、差し込む太陽光を利用して生活するだけで相応の節電効果があります。蛍光灯式シーリングライトを16時間点けっぱなしにすることで1カ月約900円ほどの電気代がかかります。
カーテンを開けっ放しにすることに抵抗がある人は、カーテンレースを取り付けたり、ブラインドに交換することで、周囲の目を気にすることなく太陽光を室内に入れることができます。
窓ガラスに断熱フィルムを貼る
断熱とは、伝わる熱を少なくすることです。住宅の断熱性能が低いと、せっかくエアコンなどで空調しても外気温の影響を受けやすいため、室内が冬は寒く、夏は暑くなりやすくなってしまい、その分空調に余分なエネルギーを消費してしまいます。
断熱性の高いペアガラス窓などに交換することもできますが、その場合は高額な工事費用が必要になってしまうため、手ごろな値段で購入できる断熱フィルムを窓に貼るのも効果的です。
断熱フィルムを窓に貼ることで、夏場の太陽光による気温上昇を防止し、冷房の効きを良くすることで光熱費を抑えることができるとともに、家具の日焼けや冬場の結露を防ぐ効果があるといわれています。
最新家電の省エネ性能に注目
家庭で実践できる省エネ方法をご紹介しましたが、人によっては「家電を買い替えてもっと省エネに取り組みたい」と考える人もいるかもしれません。
そこで、ここからは最新家電の省エネ性能についてご紹介していきます。
家電製品別の消費電力量グラフ
家庭ではさまざまな家電製品が使われていますが、電気の約7割は冷蔵庫・照明器具・テレビ・エアコンの4つで消費されています。
こちらのグラフは、家電製品別の消費電力量グラフです。季節や家庭によって消費量に違いはありますが、省エネ目的で家電を買い替える際の参考にしてください。
引用元:電力計画.com
消費電力の多いエアコン・冷蔵庫・照明器具・テレビなどの家電製品を省エネ性能の高い家電に買い替えることで、省エネ効果を高めることができます。
しかし、せっかく高いお金を支払って購入しても、あまり節電効果がなければ元も子もありません。次は、新しい家電製品に買い替えた場合の省エネ効果を見ていきましょう。
主要家電製品を買い替えた場合の省エネ効果
こちらが主要家電製品である冷蔵庫・照明器具・テレビ・エアコンを買い替えた場合の比較です。
引用元:中国電力HP
こちらのデータを元に実際にどれくらいの節約が可能か計算していきます。仮に毎月12,000円ほど電気代がかかっていて、主要家電製品で7割の電気を消費している場合のシミュレーションは以下のようになります。
交換前の電気代 | 交換後の節約分(月間) | 交換後の節約分(年間) | |
---|---|---|---|
冷蔵庫 | 2,000円 | 860円 | 10,320円 |
照明器具 | 2,000円 | 1,720円 | 20,640円 |
薄型テレビ | 1,500円 | 720円 | 8,640円 |
エアコン | 3,000円 | 150円 | 1800円 |
上記の計算はおおよその計算になりますが、これまでのデータを元に計算すると、主要家電製品を省エネ性能の高いものに買い替えることで、年間で約41,400円ほどの節約が可能という計算になりました。
家電製品の使用頻度や現在利用の家電製品によって節約できる電気代に違いがあると思いますので、あくまで参考程度にお考えください。
補助金を利用してお得に家電製品を買い替え
国も省エネを推奨しているため、設置済みのエアコン・冷蔵庫・給湯器・照明器具を省エネ性能の高いものに買い替えることで、補助金を受け取れる場合があります。
例えば、「家庭のゼロエミッション行動推進事業」では、買い替える家電製品に応じて東京ゼロエミポイントが付与されます。
ご自身が住んでいる地域では補助金制度が用意されていないかを調べ、補助金を受け取れる場合には積極的に活用してお得に家電製品を買い替えましょう。
省エネ性に関する住宅業界の動向
自動車業界では2030年頃までにガソリン車を廃止するなど、社会では着実に省エネの必要性が増してきており、私たちが携わる住宅業界でも省エネを推進する動きが顕著に見られるようになってきました。
家庭でできる省エネとは少し趣旨が異なりますが、「将来的に省エネ性能の高いマイホームを購入したい…」と思っている人に向けて、省エネ性に関する住宅業界の動向を少しご紹介したいと思います。
住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設
住宅性能表示制度とは、第三者の専門家が一定の基準に基づいて評価を行い、住宅に関する知識があまりない一般消費者にも住宅性能が分かりやすいように表示する制度のことです。
これまでは住宅性能表示制度の省エネに関する等級は「断熱性能等級4・一次エネルギー消費量等級5」が最高等級でしたが、従来の評価制度ではZEH相当を上回る評価ができませんでした。
そのため令和4年4月より、新たにZEH水準と同等の「断熱性能等級5・一次エネルギー消費量等級6」の上位等級が施行され、これまでよりも厳しい基準で評価がされるようになりました。
住宅性能表示制度については別の記事で詳しく解説しています。
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住宅性能評価書を取得するメリットとは?評価項目や費用相場、等級についてわかりやすく解説
続きを見る
ZEH支援事業でZEH住宅の普及を促進
ZEHとは(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のことで、省エネ性能が高い住宅のことです。ゼロエネルギー住宅と呼ばれることもあります。
生活するためには電気やガスなどのエネルギーが必要になりますが、ZEH住宅では生活に消費するエネルギーよりも、住宅で創るエネルギーの量をプラスにします。
地球の環境保護の観点やSDGsへの取り組みから、国も2030年までに建売や集合住宅を含む全ての新築住宅の平均値をZEH住宅に目標を掲げています。
ZEH住宅の普及を推進するために、「ZEH補助金」なども用意されています。ZEHについては別記事で詳しく解説しているのでそちらの記事をご参考ください。
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ZEH住宅とは?どんな種類や特徴があるのかご紹介!補助金制度についても解説します。
続きを見る
省エネで地球にも家庭にも優しく
本記事では、家庭で今すぐ実践できる省エネ方法をはじめ、最新家電の省エネ性や住宅業界の動向をお伝えしました。省エネに取り組むことは、生活費を節約できるだけでなく、我々が住む地球を守るという大きな社会意義も兼ね備えています。
当社でも、少しでも地球の環境保護やお客様の生活費を抑えることができればと思い、当社で建てる住宅の標準仕様をZEH仕様に変更し、ZEH住宅の普及促進に取り組んでいます。
大阪府、兵庫県で「省エネ性能の高いZEH住宅を建てたい」とお考えの方は、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。